ジープの中でも厳しい性能テストをクリアしたモデルにのみ与えられる「トレイルレイテッド」。そんな精鋭の証を冠したジープシリーズを帯広で試乗。真冬の北海道でも、タフネスな存在感と走行性能は健在だった!
乗れば冒険。それがジープの醍醐味
ジープを乗る理由。それは、ヘビーデューティなスタイリングに惹かれる人もいれば、実際にタフな走破性能が必要な人もいるだろう。いずれにしても、全モデルに共通しているのは、ジープのコクピットに収まれば冒険心が掻き立てられる。都内で乗っているのに、雨が降れば水溜りをざぶんとしたくなり、雪が降れば我先にと真っ白いキャンバスに足跡を付けたくなる。こんな悪戯心をくすぐるクルマはジープくらいのものだろう。
今回、ジープの魅力を存分に体感できるステージが、北海道に用意された。精鋭モデルしか付けることの許されない「トレイルレイテッド」バッジを冠したモデルが帯広空港にスタンバイされ、ラングラー・アンリミテッド・ルビコンをまる1日試乗する機会を得た。
2018年リリースのJL型ラングラーは、帯広の一般路は言わずもがな、タイヤ跡のない林道でさえも、このクルマならば余裕綽綽で走りきる。貸し切られた牧草地で自然形成されたモーグル群を見つけアタックしたが、クロールレシオ(ギアの低速走行比)が高い設定なので、僅かなペダル操作ですっと乗り越えてしまう。最大トルクは347Nmなので、エンジン出力に頼った走破性でないことは明白だ。ちなみに、アスファルトが剥き出しの高速道路を30kmほど走行。豊かなトラベル量を持つリジットサスペンションでの高速巡航は不得意だったが、これもエンタメ性と割り切ってしまう方が賢い向き合い方かもしれない。
翌日はレネゲード・トレイルホークをまる1日試乗。結果的にジープの上位と下位モデルを乗ることとなったが、このモデルのポテンシャルには驚かされた。前日の晴天とは打って変わり、吹雪の中での試乗となったが、コクピットに乗り込むと視界が悪くても四隅の位置感覚がはっきりとわかる。Gクラスしかり、ディフェンダーしかり、リアルオフローダーに共通しているのはドライバーの身体によく馴染むこと。レネゲードは体躯も小さいので、運転時の安心感も高く、蓋のない流雪溝や崖っぷちにビクビクすることはない。
走り出しは意外にもジェントルで、プラットフォームはフィアット500Xと共通だが、トランスミッションはトレイルホークのみZF製の9速ATを採用。走行モードはオートのほか4つから選べ、今回は「スノー」を選択して、帯広周辺を走り回ったが、不意にステアリングを取られることもなく、電子制御も早めに作動してくれる設定なので、悪天候でも不安に襲われることはなかった。
「トレイルレイテッド」のモデルは、上位下位関係なく、走破性が担保されている。その裏打ちがあるからこそ、日常に冒険心を見出せるのだと再確認した。