あとはこれで何をするかが問題だ
リンスピードといえば、日本だとポルシェのアフターマーケットパーツなどでも知られるスイスのコンストラクターだが、マニアの間では奇抜なコンセプトカー作りでも有名だ。使う環境によって全長が可変するクルマや水中を走れる(?)潜水車、さらには外板がシースルー素材のクルマなど、個性的な作品の数々はポジティブなクルマの未来像として好き者の目を愉しませてきた。
そんな同社が、’16年初頭にラスベガスで開催される国際家電ショー(CES)で新たなコンセプトカー、Σtos(エトス?)を発表する。リンスピードのコンセプトカーというと、これまでは本拠地であるスイスのジュネーブショーが発表の場とされてきたが、今回のモデルは最新家電の見本市でアンヴェール。その理由はテーマがクルマの自動化だから。ベースはBMWのハイブリッドスポーツ、i8ということで外観にはその面影が随所に残っているが、圧巻なのは21.5インチの巨大モニターを配したインテリア。ZF TRW製というステアリングは、自動運転の際はインパネ内に格納され運転席には助手席と同等のユーティリティを生み出すと同時にコンセプトカーらしい華やかさも演出。写真で見る限り、そのクオリティも大メーカーの作品と比べて勝るとも劣らない。
またリンスピードならではの遊び心を感じさせるのはリアにドローン用の発着ポートが作られていて、そこには12000通りのグラフィックを表示できるLEDが組み込まれていること。冷静に考えると「だからどうした?」という類の装備なのだが、ショーを盛り上げる存在として有効なのは確か。クルマの未来を実感させつつ、そのホビー性までもアピールするあたりはさすがというべきかもしれない。