モーターショーの華といえるコンセプトカーだが、それを製作するには1台数億円もかかるという。自動車メーカーの業績はどこも絶好調なのだが、とにもかくにも効率最優先のこの時代。営業サイドから「じゃ、それ作ったら何台売れるの?」とツッコミが入れば、開発も広報も論破するのは難しい。コンセプトカーの数がひと昔前に比べて激減しているのは、そんな事情も理由のひとつとして挙げられる。またリアルなコンセプトカーではなく、もっとバーチャルなプロモーションに力を入れつつあるという時代的背景もある。
Vモーショングリルをより強調
そんな中、高級車部門のインフィニティと併せ、2台も新しいコンセプトカーを用意してきたのが日産だ。インフィニティQX50コンセプトについては別項に譲るが、ここでは日産ブランドの「Vモーション2.0」を紹介しよう。
「Vモーション」とは日産近年のデザインランゲージで、フロントグリル先端からボンネットにかけて続く「V」字型モチーフを強く強調、それを中心に車両全体の躍動感を表現していくというもの。そのアップデート版だから「2.0」というわけだ。
ではどこが2.0なのかというと、現状の北米版ムラーノやマキシマにも採用されているVモーショングリルをさらに立体化しつつボリューム感を与えて強化。そしてフロントマスクは一層シャープに、それに呼応してボディサイドにも「V」がモチーフのキャラクターラインを大胆に入れ込んでいる。
また自動運転時にはフロントのエンブレムやリアディフューザーが点灯、周囲にもそのことを知らしめて注意を喚起するという。
全体のフォルムはルーフの低い4ドアクーペ風で、これは他メーカーもコンセプトカーや市販車に続々と導入している最新のトレンド。ファミリーカーの主役がSUVやミニバンに移る中、あえてセダンを選択する消費者はもっとパーソナルな佇まいや空間、そしてスポーティな走りを求めているから。今後セダンはどんどんスポーツカー的に進化してゆくのだろう。
このVモーション2.0は具体的な車種のデザインコンセプトというわけではなく、日産ブランドに属するセダン全体の、今後の方向性を示すものだという。フルモデルチェンジが近そうなセダンといえばヴァーサ(日本名:ラティオ)やセントラ(日本名:シルフィ)などが考えられるが、どんなスタイリングを纏ってデビューしてくるのか楽しみである。