
ミルクロード(No.091)
切り立った外輪山の縁からカルデラ盆地や阿蘇五岳を一望にする道。
阿蘇と言えば、誰もがすぐに噴煙たなびかせる火山の姿を思い浮かべるに違いない。しかし、実際には阿蘇という名前の山が単独で存在するわけではない。一般的に阿蘇山というのは、広大な阿蘇カルデラ(東西約18km、南北約25km、周囲約128km)の真ん中にそびえる中央火口丘群(通称:阿蘇五岳)、および、そのまわりを取り囲む外輪山に連なる山々の総称。ある意味、山の名前というよりは、地域の呼び名なのである。
ミルクロードは阿蘇の西麓、大津の町から外輪山に駆け上がり、その北側の稜線伝いにやまなみハイウェイとの交点まで延びる全長約45kmのワインディングロード。もともと周囲に点在する牧場の牛乳搬出用の農道として作られたことにその名は由来する。
切り立った外輪山の縁をゆく道だけに眺めの良さは格別。さえぎるもののない緑の草原地帯のなか、ゆったりとしたカーブとアップダウンを繰り返しながら道は延びていく。ルートの途中には大観峰、兜岩、北山展望所(正式名称:西湯浦園地展望所)、さらには通称「ラピュタの道」といった絶景スポットも数多く点在している。
そのひとつ、国道212号とミルクロードが交わる場所にある大観峰は、外輪山の崖の上に突き出した標高936mの展望地で、カルデラ内に広がる田畑や町並みを眼下に一望。その向こうにはお釈迦様の寝姿のように横たわる阿蘇五岳が浮かび上がる。
◎正式名称/県道45・12・339号
◎区間距離/45km(県道11号交点-二重ノ峠)
◎冬季閉鎖/なし
◎撮影時期/7月下旬
阿蘇パノラマライン(No.092)
カルデラの中央にそびえる阿蘇五岳へと駈け上がる
パノラマラインは阿蘇五岳へと駆け上がる東・北・南登山道(県道111号/298号)の総称で、かつては有料道路だった道。カル デラ盆地を眼下にしながら、雄大な阿蘇五岳へと肉薄していく。途中にはお椀をひっくり返したようなきれいな円錐型を見せる米塚、斜面に広がる牧場地、烏帽子岳の中腹に広がる草千里(駐車場利用料410円)などもあり見所は尽きない。終点の山上広場で阿蘇山公園道路に接続し、そこを登れば中岳火口間近まで行ける。(※平成27年9月現在、噴火警戒レベル2のため、阿蘇山公園道路は通行止。)
◎正式名称/県道111号・県道298号
◎区間距離/26km(阿蘇市-南阿蘇村)
◎冬季閉鎖/なし
◎撮影時期/7月下旬
県道28号・ 俵山峠(No.093)
阿蘇五岳と外輪山を一望にする大パノラマ
熊本市内と阿蘇を結ぶ展望抜群の絶景ロード。ハイライトはなんといっても旧道の俵山峠周辺の景色。ウインドファーム群を 横目に見つつ、緑に覆われた外輪山を越えると正面には阿蘇カルデラの大パノラマが展開!眼下に連なるヘアピンの数々や、まるでミニチュアのように見える南阿蘇の景色には思わず息を呑んでしまうはず。峠付近には駐車場もあり、徒歩1分ほどで東屋つきの展望台へ。走り抜ける前に、ぜひこの大絶景を堪能していってほしい。
◎正式名称/県道28号熊本高森線・旧道
◎区間距離/18km(西原村-南阿蘇村)
◎冬季閉鎖/なし
◎撮影時期/7月下旬
ご当地情報
A:大観峰
阿蘇谷の向こうに阿蘇五岳がそびえ立つ
阿蘇エリアで一、二を争う人気の展望スポット。名付け親は、明治・大正・昭和の三時代にわたり活躍した熊本出身のジャーナリスト徳富蘇峰。それまでは「遠見が鼻」と呼ばれていた。ミルクロード沿いの外輪山の出っ張りからは、広大なカルデラ盆地を眼下に一望し、正面の阿蘇五岳は横たわる涅槃像のように見える。
●阿蘇市山田2090-8/Tel:0967-32-3856(阿蘇市観光協会)
アクセスガイド
阿蘇エリアに最も近いのは九州道・熊本IC。インターから阿蘇市街(宮地駅前)までは国道57号で約40km/1時間20分の道のり。別府や大分にフェリーで降り立った時には、大分道&やまなみハイウェイ経由が便利。大分道・湯布院ICからミルクロードとやまなみハイウェイの交点までは約50km。俵山峠を抜けて阿蘇エリアをめざす時は九州道・益城熊本空港ICで降り、県道38号/28号で行くのが早道だ。
観光情報
九重町観光協会 Tel:0973-76-3866
南小国町観光協会 Tel:0967-42-1444
阿蘇市観光協会 Tel:0967-32-1960
南阿蘇村観光協会 Tel:0967-67-2222
高森町観光協会 Tel:0967-62-2233
文:佐々木 節/写真:平島 格