コラム

突撃リポート【大型トラックにナノメタルコーティング?】から知った運送業界事情

汚れているトラックは工場に入れてもらえない!?

2018年12月某日、数々の歴史的スーパーカーにナノメタルコーティングを施し、日本一のスーパーカーナノメタラーを公言している人物から、「大型トラックにナノメタルコーティングするから見においでよ!」と連絡があったので行ってみました。

「大型トラックにナノメタルコーティングってなぜ?」面積が大きいため費用も30万円以上もかかるというし、ニュースで見聞きしている運送業界は経営環境がかなり厳しいというイメージがある。「果たしてそんなコストを掛ける余裕があるのだろうか?」

という疑問を胸に埼玉県草加市の運送会社を訪問しました。

自社のトラック(新車の日野プロフィア)にナノメタルコーティングを試してみることにしたという、株式会社エムテック代表取締役の目黒慎二さんに話をお聞きし、初めて知った運送業界事情に驚いたのでした。

最近、汚れているトラックはイメージが悪くなるからと工場に入れてもらえないケースが増えているそうです。特に食品会社などの清潔なイメージが必要な会社に多いと言います。これがコーティングを試してみることにした一番の理由とのこと。

「このコーティングを施していると、ラリーカーの泥も高圧洗車機の噴射だけで落ちるほど効き目があるそうなので、車庫に戻ってからの洗車作業が格段に楽になるのではないかという期待をしています。楽になるということは、時短を含めたドライバーの待遇改善にもつながります」

屋根にもコーティングすることによって垂れる水もきれいに。

通常の目線で見えやすいフレーム部分にもコーティング。

ホイールやナンバープレートも。力が要らないので女性にも作業ができます。

季節的に少なかったですが、こんな虫たちも簡単に落ちるとのこと。

実はカスタマイズされていることが多いトラック

このプロフィア、サイズが違うので最初は気づきませんでしたが、日産スカイラインGT-R(R34)に設定されていたミッドナイトパープルIIで塗装されていました。それ以外にも、フレーム部分やホイールの赤もカスタマイズで特別に塗られています。これはメーカーで生産時にも注文できるし、後から架装業者で塗ってもらうことも可能だとか。

フレームやホイールのレッド色もカスタマイズ。

クロエリ(コーティングメーカーのイメージキャラクター兼ラリードライバー兼モデル)の顔もきれいに映ります。

カスタマイズするのとキレイであることのメリット

何十万円という追加費用がかかるカスタマイズですが、これも費用対効果が見込めるそうです。

まず、カッコいいトラックに乗りたがるドライバーは多いらしく、トラックを見て「このトラックに乗りたい!」と直接声をかけられるなど、人手不足の中運転手が確保しやすい。そうやって入社したドライバーは定着率がとてもいいとのこと。

次に、カッコよくきれいなトラックだとそれを維持しようとする意識が働くため、大事にきれいに乗るのでメンテナンスや修理費用が抑えられる。

そして、そんなトラックは中古で売りやすいし高く売れる。

こんなことを考えれば、カスタマイズやコーティング費用は充分元が取れるので、経営戦略上必要なことだだとも言えるでしょう。

新型プロフィアはマニュアルの他、トルクコンバーター式ATと自動クラッチのAMTをラインアップ。大型トラックもイージードライブの時代ですね。

人手不足は製造現場でも

トラックの生産現場でも人手不足は深刻なようで、納期が長くなっていて2年待ちも当たり前という状況なのだそうです。これによって中古価格も安定していて、中古でも高年式で程度がいい車両はすぐに売れるとのこと。

そのため、かなり先の新車を次々と注文しておくと、タイムリーに新車が手に入るし、中古も高く売れるので出費は抑えられるという好循環。スーパースポーツカーの買い方みたいだなと思いました。

いやいや、どんなことでも訊いてみなければわかりませんね。これからそういった目で街中を走り回るトラックを見てみるとおもしろいかもしれません。

フォト:大田中秀一 S.Otanaka

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