キャデラック

標準でオールシーズンタイヤを履くアメ車のキャデラックCTSはウェットに強し!元祖スポーツサルーンの異名を持つクアトロポルテは?【清水和夫のDST】#83-3/4

清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)

Number83(SEASON.8):もはやドイツ車優位説は過去のこと。アメリカ車とイタリア車の底力に脱帽!

キャデラック CT6 vs マセラティ・クアトロポルテS/Test02:ウェット旋回ブレーキテスト

●テストの「方法」と「狙い」:ドライ路面からウェット路面に100km/h(±2%)で進入、半径40Rのカーブをフルブレーキングしながら曲がる。路面はハイドロプレーニングよりもウェットグリップが問われる水深5mmに設定。ABSやタイヤを含めたクルマの総合的なブレーキ性能と、シャシーの旋回性能(ラインが外に膨らむクルマは危険)をみる。

 

キャデラック CT6 VS マセラティ クアトロポルテ S(ウェット旋回ブレーキ編)

タイヤコンデション

MASERATI QUATTROPORTE S

ピレリ Pゼロの前245/45R19、後275/40R19で9分山。Pゼロは同社の代表的なスポーツタイヤでこのセグメントでも定番だ。サルーンでもスポーティなハンドリングを信条とするクアトロポルテに相応しい。

CADIILAC CT6

グッドイヤー・イーグルツーリングの前後245/40R20。9分山。アメリカ車のタイヤはオールシーズンが一般的。様々な道や道路環境のために、雪上性能も求められる。これも路面や季節を選ばないM+S。

標準でオールシーズンタイヤを履くアメリカ車は、やはりウェットに強し

MASERATI QUATTROPORTE S

●制動距離52.5m(★★★☆)

元祖スポーツサルーンの異名を持つクアトロポルテは、前後異形サイズのタイヤを履く。フロントは8分山、リアは6分山とリアタイヤが減っていたのでウェットは心配だった。これでは満足な結果が得られないだろうと予測していた。実際のテストは時速100km/hでウェット路に進入し、ブレーキとステアリングを同時に操作。瞬間的にフロントタイヤがハイドロプレーンでハンドルが効かなくなる。そのためにアンダーステアとなるが、その直後に今度はリアが滑り始める。その後は4輪ドリフトしながら遠心力に負けて大きくアウト側まで軌跡は広がってしまった。タイヤの山があれば、もっと結果は良かったはずだ。

 

CADILLAC CT6

●制動距離49.3m(★★★★☆)

見た目はサマータイヤのように思えるが、米国ではウェット性能をとても重視する傾向にある。欧州や日本のように車外通過騒音や燃費規制がタイヤ性能を歪めていないので、安心して使える。しかもCT6は4WDなので、ウェットは自信があるはずだ。テスト結果は、ハイドロプレーンへの対応も上々で、重量級のクルマにしてはライントレース性能とストッピングパワーも満足できた。挙動は終始弱アンダーを維持し、徐々にライントレースから離れていくが、ストッピングパワーは大きいので短い距離で止まることができた。ABSのロバスト性も悪くない。クルマが曲がろうとする力と止まろうとする力のバランスが良かった。

 

 

 

リポート:清水和夫 フォト:篠原晃一 ル・ボラン 2017年9月号より転載

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