プジョーのサスセッティングは絶妙
プジョーの得意分野といえば「サスペンションセッティングとディーゼルエンジン」。ヨーロッパで専門家たちに聞くと、そうした答えが返ってくる。なんともマニアックな自動車メーカーだが、3008GTラインはその言葉を見事に表現するようなモデルだった。
特にサスセッティングは絶妙だ。街中ではやや硬く感じるものの、速度域が上がると、しなやかに動き出す。もはや、これがプジョーのスタンダードな味付けとなっているが、3008もそれを受け継ぎ、高速周回路を走れば乗り心地はグレードアップするし、130km/hのレーンチェンジではスムーズに、狙ったラインにピタリと収まる。あらためて感心してしまうが、ステアリングの入力に対して過敏さはなく、遅れることもなく、フラット感とほどよいロール感を伴って、ドライバーに不快さを与えない、伝えない挙動に終始する。人間の感覚を重視して作り込まれた完成度の高いSUVなのだ。唯一残念だったのは、ウェット旋回ブレーキだった。タイヤのウェット性能とABSをリファインすれば、満点に近い成績を収めることができただろう。
CX-5はマツダの主力車種だけあって、突出した性能があるわけではないが、トータルバランスの高さで勝負している。
高速周回路の乗り心地は、新型となってGベクタリングが進化したのか、タイヤの接地性が高められ、3008によく似てサスペンションのしなやかさが増していた。ステアリングを操舵しても、フロントタイヤの確かなグリップが伝わってきて、最新の欧州SUVと比べても遜色のないスタビリティが常に保たれる。欧州車の下に日本車が位置していた時代はもう過去のものになったと実感した。