BMW新旧3シリーズのビジュアル比較
「すべてが新しい」といえるほどハードウェアが一新された新型3シリーズだが、その見ためは従来型と印象が変わらないという“雑音”もチラホラ。では、何が変わって何が継承されたのか? ここでは改めて新旧3シリーズを比較する。

右が2019年最新モデルのG20(7代目/2019〜)330i M SPORT、左は一世代前のF30(6代目/2012〜2019)330e M SPORTだ。
守るべきテイストは継承しつつ中身の方は別モノの域に
初めてその姿が公開された際は「変わり映えがしない」という声もあった新型3シリーズだが、直接従来モデルと見並べてみればご覧の通り。ロングノーズに切り詰められたフロントオーバーハング、バックフォワード気味のキャビンといった基本的な要素が変わらないので、確かに遠目からだとさほど変わっていないように見える。だが、BMW最新のデザイン言語に則った新型の外観は、間違いなく世代相応の新しさを感じさせる出来映えだ。
そんな印象は、室内でも変わらない。タッチパネルの操作性を考慮してインパネ中央のディスプレイが低く、ドライバー寄りのレイアウトに変わったことを除けばインテリアは慣れ親しんだBMWテイスト。しかし、個々の操作系は現代的刷新。ともすれば保守的といわれたメーターもグラフィックが激変した。当然、装備類も最新のプレミアムセダンに相応しいもの。日々学習して賢くなっていくという音声コマンドシステムを筆頭に、従来モデルでは望み得ない新機能も少なくない。

右のG20(7代目/2019〜)330i M SPORTは後トレッド1570mm、全高1430mm。左のF30(6代目/2012〜2019)330e M SPORTは後トレッド1550mm、全高1430mmだ
スポーティであることに変わりはないが、走りもしっかり新しい。今回、とりわけ印象的だったのは55kgも軽量化されたというボディの剛性感が格段に高まったこと。必要にして十分ではあっても、決して頼もしいわけではなかった従来型と比較すると新型は堅牢そのもの。それがプレミアムセダンとしての乗り心地や操舵感など、質感の向上に大きく貢献しているのは間違いのないところだ。また、ライバルと比較すると制御が控えめだった運転支援システムの存在感も確実に高まった。現状だと、乗る人によっては「おせっかい」と感じる場面もなくはない。だが来たるべき自動運転時代を思えば、それもまた新しさとして納得できる仕立てといえる。

新型になって左右が繋がったキドニーグリルはエンジンフードに回り込む立体的な造形となり、従来型よりボディラインとの一体感が増した。若干大きくなったボディ全体で見ると、長らくBMWデザインのアイコンにもなってきたリアクォーターウインドーの形状、「ホフマイスターキンク」がCピラーと一体化したことがトピック。
そう、当然とはいえ新型は見比べても乗ってみても従来型とは明らかに違う世代のクルマなのだ。その意味では現在、そして近未来のBMWを体感したいというニーズに合致するのは新型になる。だが新しいか古いか、ではなく良いか悪いかという視点で見るなら従来型が依然魅力的であることも確か。BMWの場合、新型に見慣れるとそれ以前のモデルは見ための鮮度が急速に衰える傾向があるので、今後従来型が古臭く見えるリスクは否定しない。だが、決して現状でもクルマとしての実力が色褪せているわけでもない。となれば、完熟の域にある従来型を遠からず一層リースナブルになるであろう予算で愉しむ、という選択も個人的にはアリだと思う。
新旧3シリーズのビジュアル比較:コクピット編
新型のG20ではデジタル化が加速、メーター回りは基本デザインから一新
コントロールディスプレイ(サイズは10.25インチ)は従来型より低い位置にマウント。タッチ操作がやりやすくなった。パーキングブレーキが電動式となったことで、シフト回りのスイッチはむしろ増加。12.3インチのデジタルメーターはデザインも一新。タコメーターは走行モードの違いに関係なく反時計回りの表示になるが視認性に問題はない。ライト回りの操作系はダイヤルが廃止され、デザイン性重視の意匠に。
F30の操作性は良好ながら、最新モデルに比較するとデザインや質感に時代を感じる部分も
タブレット風のセンターディスプレイは、インパネ上部にレイアウトされる。デビュー以降、スワイプ機能など操作性は随時進化していた。パーキングブレーキが機械式(もはや古臭く見えるが機能上の問題はない)、ということでシフト回りのレイアウトはシンプル。なかばBMWの“様式美”でもあった機械式メーターのレイアウトは、依然高い視認性を誇る。ライト回りの操作系は、お馴染みのダイヤルがメイン。
新旧3シリーズのビジュアル比較:シート&ラゲッジスペース編
G20はボディサイズの拡大により室内のゆとり感が旧モデルよりアップ
ホイールベースの延長など、ボディサイズの拡大により室内空間は従来型より広くなっている。身長178cmのドライバーが前席で正規のポジションをとったケースでは、前席のヘッドルームと後席足下空間が広くなっていることを実感できた。シートはデザインだけでなくサイズ的な余裕も従来型より増した印象だ。カタログ上の荷室容量は480Lで従来型と同じ。

F30のパッケージングは依然必要かつ十二分な完成度
新型と直接比較すれば若干タイトな印象もある従来型の室内だが、プレミアムDセグメントのセダンとしては必要にして十分といえる広さが確保。計測サンプルとしたドライバーの座高の問題か、後席の頭上空間は従来型でも新型とほとんど変わらなかった。撮影車はプラグインHVの330eということで荷室容量は370Lにとどまるが、標準的な従来型のそれは480L。

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