今度は3列シートのコンパクトクロスオーバーがスタンバイ
GLAからGクラスまで、矢継ぎ早にSUVのラインアップを拡大し、もはや全カテゴリーを網羅したかと思いきや、まだこの手があったのかと誰もがそう思ったに違いない。しかもこの「コンセプトGLB」、すでに市販化が内定していると聞けば、その完成度にも納得だ。上海ショーの前にドイツでデザイナーに話を聞いた。
ボクシーなデザインはGクラスにインスパイア
メルセデス・ベンツは、つい先日開催された上海モーターショーで、コンセプトGLBを全世界に向けて初公開した。全長4634mm、全幅1890mm、全高1900mm、そしてホイールベース2829mmのクロスオーバーSUVは、メルセデスのFFコンパクト用プラットフォームであるMFAをベースに、もっとも大きなフォーマットで構築されている。というのもこのGLBコンセプト、標準の5シーター仕様に加え、3列シートの7シーター仕様を前提に開発が進められてきたのだ。
さらに興味深いのはデザインで、ここ最近、同社のFFコンパクトカーに採用されてきたスポーティなフォルムではなく、立方体のようにスクエアな面で構成されているのだ。しかも、それはエクステリアだけでなくインテリアにもみられる。これについてエクステリアデザインを担当したアヒム・バートシュトゥーブナーは、
「実はGLBコンセプトの開発初期段階から、我々のチームはGクラスのデザインDNAが活かせないかと検討していました。そして、その過程でボクシーなデザインを採用することでキャビンスペースを広く確保でき、シートを3列レイアウトできることが分かったのです。ただし、我々は7シーターのマイクロバンを作るつもりはありませんでした。あくまでダイナミックで、ドライバーズシートに座った瞬間からエキサイティングなクルマを目指したのです」
たしかにこのGLBコンセプト、特にルーフボックスやオフロードタイヤ、そしてブラックアウトされたオーバーフェンダーなどが備わるショーカーは、見るからにアグレッシブでダイナミック。バートシュトゥーブナー氏によると、これらオフロードパッケージの一部は市販化された場合、オプションで選択可能になるという。
前述の通りインテリアもまたGクラスに通じるデザインで、ショーモデルはナッパレザーやヌバック、アルミで加飾されてはいるものの、インテリアデザイナーのハルトムート・ジンクウィッツ曰く、
「デザインはあくまで量産モデルを前提にしていまして、メーターや操作系は現行市販車のものを使用しています。もちろんユーザーエクスペリエンスのMBUXも搭載していますよ」
注目の3列目シートへのアクセスだが、このGLBコンセプトは2列目シートが前後に140mmスライドでき、最前方までスライドさせると容易に着座することができた。ラゲッジスペース容量は、3列目を畳んだ状態で500Lは確保できているはずだ。
現時点で「コンセプト」と名付けられてはいるが、「ベースは量産車」(バートシュトゥーブナー氏)であり、すでにその市販化は100%保証されている。なお、横置きに搭載される2L 4気筒ターボ(M260)はベルト駆動の48Vマイルドハイブリッド仕様で、ドライブトレインはFFと4マチックの2種類から選択可能。将来的にはスポーティバージョンのAMG GLB350の追加、さらにはEQCの弟モデル、EQBとしてメルセデス・ベンツのEVファミリーに加わる可能性もある。
市販車の正式発表は今年9月に開催されるフランクフルト・ショーで、欧州での発売は早ければ年内にも開始。日本での発売時期は未定だが、おそらく2020年モデルとして登場すると予測される。
【NEWS: 01】ダイムラーAGの社長がオーラ・ケレニウス氏に
ジーリーとのジョイントベンチャーも正式締結
メルセデス・ベンツの親会社、ダイムラー社は昨年9月の取締役会で、13年に渡りCEOを務めたディーター・ツェッチェ氏に代わり、オーラ・ケレニウス氏を任命した。今年で50歳になるスウェーデン人のケレニウス氏は’93年にダイムラー社に入社、購買担当、AMG社長などの要職を経て現在は開発担当重役の座にある。社長としての最初の仕事は、スマートとジーリーのジョイントベンチャー設立となった。
【NEWS: 02】モビリティサービスから自動運転へ
CASEでBMWとの協業が加速!
自動車会社がクルマを作って売るだけの時代は終わった。インターネットを利用したモビリティサービスが新しいビジネス形態となりつつあるいま、いかに効率的にユーザーを獲得するか。BMWとダイムラー社はこのモビリティサービスの分野で協業、ワールドプレイヤーを目指すと発表した。さらには、すでに実用化の段階にある自動運転の開発においてもタッグを組むことが明らかに。時代は急速に動いているのだ。
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