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今やモーターショーよりもワールドプレミアラッシュ!? 「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2019」リポート

今年のホストはアストンマーティン

「ブリティッシュ・サマー」と呼ばれる1年で最も過ごしのいい時期を迎えたイギリスで、F1イギリスGPに並ぶ(今やその規模すら超えたという話もある)モータリング・イベントとして有名なグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FoS)が、7月4日から7日にかけて開催された。

毎年恒例の巨大モニュメント。1959年にル・マンを制したアストンマーティン DBR1を載せ、これからもアストンが挑戦するレーストラックが永遠に続くことを表現しているのだそうだ。

今回メインフィーチャーされたのは、グッドウッド・サーキットで初めてレースに参加してから今年で70年を迎えるというアストンマーティンだった。それを祝して会場中央のグッドウッド・ハウス前には1959年にル・マンを制した(実はこれも今年で60周年を迎える)レーシングスポーツ、DBR1をディスプレイした巨大なモニュメントが建設され、毎日お昼に行われた記念セレモニーには、そのもとに30台あまりの歴代レーシング・アストンが顔を揃えたのである。

グッドウッドでは4月のメンバーズ・ミーティングでもミュージアムによる917のデモランが行われたが、今回は世界の個人コレクターの所有する917が11台も集結。なんとも贅沢なデモランになった。

今年で創業100周年を迎えたベントレーもテーマのひとつ。1919年のEXP2をはじめ、2003年にル・マンを制したスピード8、現役のコンチネンタルGT3など20台以上が出場。さらに会場内では歴代の貴重なモデルを集めたコンクール・デレガンスまで開催されていた。

ホンダがマン島TTレース挑戦をきっかけに世界の舞台に飛び出して今年で60年。それを記念して歴代GPマシンがデモランを披露。「参加するのは今回が初めて。Moto GPマシンの迫力をみなさんに感じて欲しい」とはワークスRC213Vで参加のレジェンド、岡田忠之氏。

他にもベントレー100周年、トゥール・ド・フランス120周年、メルセデス・モータースポーツ125周年、ホンダWGP参戦60周年、ジャッキー・スチュワートF1王座獲得50周年、マーチ50周年、ポルシェ917誕生50周年(これだけのメモリアル・イヤーが揃うのも彼の地の歴史の長さと深さを物語っている)など、多くのメモリアル・イヤーに合わせたプログラムを用意。2輪、4輪合わせて600台以上のマシンと、多数のレジェンド・ドライバー&ライダーが集まりハイスピードデモランを披露してくれた。

安全を理由に現役F1チームによるタイムアタックが規制されているため、もう2度と破られることはないと思われていたコースレコードを更新。40秒台の壁をもブチ破ったVW ID.R。今年のヒーローでもある。

F1ワールド・チャンピオン3回獲得、通算27勝のレジェンド、サー・ジャッキー・スチュワート。彼がタイトルを獲得したマトラMS80、ティレル003、006を2人の息子とともにドライブ。

その中でも注目を集めたのが、6月にニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでEVの最速タイムを更新したばかりのVW ID.Rが、ロマン・デュマとともに登場したことだ。約1.8kmに及ぶグッドウッドのヒルクライム・コースのレコードタイムは、1999年にニック・ハイドフェルドがマクラーレンMP4-13で打ち立てた41.6秒。以後、安全に考慮(過去には死亡事故も起きている)して現役F1チームによるタイムアタックが禁止されたこともあり、永久的なコースレコードと化していたこのタイムを破るべく、昨年からID.Rを投入してきたVWチームは、グッドウッド専用のセッティングを施したID.Rで初日から積極的にアタックを開始。金曜に41.1秒を記録し20年ぶりの更新を果たしたうえ、土曜にはタイムを39.9秒にまで詰めてみせたのである!

5日土曜日の昼に突如ヴェールを脱いだ新型ポルシェ911RSR。NAを維持したフラット6ユニットは4.2Lへ拡大。サイド・エキゾーストになるなど空力も大きく進化したという。

7月4日にワールドプレミアされた新生デ・トマソ・アウトモビリのP72。V12を搭載しているということからモノコックのみならず、その基本コンポーネンツもアポロIEと同じと思われる。72台の限定生産。

もはやコンセプトカーお披露目の場に?

そんな今年のFoSのもう一つのトピックが、各メーカーがこぞって持ち込んだ新型車、コンセプトカーの発表ラッシュだ。

例えば木曜には新生デ・トマソがP72、メルセデスAMGがA45 4MATIC+、フォードがGT Mk II、ラディカルがラプチャーをワールドプレミアした他、土曜の昼には何の前触れもなく突如ポルシェ911RSRがデビューを飾るなど、モーターショー顔負けの内容とボリュームとなっていた。

今年のメインを張るアストンマーティンは開発中のDBXを筆頭に、ラピードE、ヴァンテージAMR、DBSスーパーレッジェーラ・ヴォランテ、ヴァルカンAMR Proなど新型車を積極的に披露。

もうすぐ正式デビューを果たすポルシェ・タイカンも偽装を施された状態ながら、マーク・ウェバーのドライブで搭乗。実物は思った以上にコンパクト、というのが率直な印象。

北米国際自動車で公開したレクサスLCコンバーチブル・コンセプトをより進化させたプロトタイプがデモラン。まだ正式発表ではない……とのことだが、かなり完成度は高そうだ。

150psの後輪駆動と、具合的なスペックが公表されたばかりのEV、ホンダeもグッドウッドに登場。「New Honda EV!!」と観客席のあちこちから声が上がるほど、高い注目を集めていた。

これも今回の目玉のひとつ。新型ランドローバー・ディフェンダー・プロトタイプ。ヒルクライムコースをかなりのハイペースで走っており、オンロード性能の高さも期待できそうだ。

またランドローバー・ディフェンダー、アストンマーティン DBX、レクサスLCコンバーチブル、ポルシェ・タイカン、MINIジョンクーパーワークスGP、そしてホンダeなどのプロトタイプも続々出走。その光景にプレスルームやコースサイドのカメラスタンドがてんやわんやの大騒ぎになるほどだった。

「また元気な姿を見せて!」というメッセージとともにミハエル・シューマッハ生誕50周年も開催。若かりし頃のフォーミュラフォードから、歴代フェラーリF1など彼の操ったマシンが勢ぞろいした。

さらにF1のデモランでは、ホンダ・コレクション・ホールから持ち込まれた1988年のチャンピオン・マシン、マクラーレンMP4/4に佐藤琢磨選手が搭乗。F1ファンにとって感涙モノの光景だった。

イギリスを代表する市販レーシングカー・コンストラクター、マーチのトリビュートには日本から久保田克昭氏も、愛機マーチ761とともに参加。76年にイタリアGPで優勝した貴重な個体である。

さらに広大な会場内には、試乗コースも備えた巨大なメーカー・パビリオンが乱立。一部では、限られた顧客だけを招き入れての新型車の内覧会が催されるなど、各メーカーがグッドウッドFoSを単なるモーターイベントではなく、従来の展示型とは違う新たなモーターショーとして捉え、力を入れていることが如実に感じられた4日間でもあった。

2020年からの発売が正式発表されたGRスープラGT4。グッドウッドではポルシェも718ケイマンGT4、ロータスもエヴォーラGT4をお披露目し、彼の地でGT4熱が高まっていることを示していた。

グッドウッドの会場でワールドプレミアされたアウディR8 LMS GT2。640psのV10を搭載するGT2マシンで、従来のGT3、GT4よりもさらにアグレッシブになったボディは、文句なしにカッコいい。

フォト:藤原功三/K.Fujiwara
藤原よしお

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