毎月編集部員がこれは!と思った趣味グルマを紹介する“100万円でドロ沼に陥る!?”。今回は、前号で3ペダル・マニュアルで楽しみたいモデルの代表格として紹介した、ルーテシアの豪華内装版をご紹介。“中身の勝負”にこだわる方は必見です。
ルノー・ルーテシアとは?

内面を磨いて所有欲を満たす
突出したエンジン出力など、数値で分かりやすい特徴があれば目を引きやすいが、ウッドとレザーを備える豪華な内装がポイントと言われてもピンとこない方は多いだろう。しかし、ルノーに興味のある方ならば、“バカラ”といえばちょっと興味がわくのではないだろうか。

全長3720mm、全幅1635mmとコンパクトながら、車内に入ると意外な程広い空間が用意されている。グラスエリアの広さも、やはりこの年代のクルマの魅力だ。
と前置きしつつも、ここで紹介するルノー・ルーテシアには商標登録の問題? でそれまで使われていたバカラのネーミングを示すプレートの類やモデル名はない。しかし、同グレードの特徴といえる本革と、ウォールナットを用いた内外装の仕立てはそのまんま。アナログ式の時計や、リアパーセルシェルフのパーソナルクローゼットは健在だ。

インテリアはウォールナットと本革が採用されている。この写真だけで判断すると上級モデルと勘違いしてしまいそうだ。エアコンのスイッチ類の下にはオーディオが備わるが、使用しない時はウッドパネルのカバーで隠すことが出来る。
ちなみにバカラは、ここで紹介するルーテシアだけでなく、ラグナやサフランにも用意されていた。


キモといえる内装の程度は良好で、アビスグリーンのボディ色との相性も良い。助手席前方のグローブボックスのカバーはピクニックテーブルとして活用できる。
オーバークオリティと言えるほど立派な前後シート
オーバーサイズと思えるシートは、シートバック座面ともに厚みがあり、前後どのポジションに座っても満足させてくれる。内装が豪華な仕立てであるほど、ヤレが見られると一気に魅力が減退してしまうが、この個体ではそんな心配は不要だ。シート表皮は美しく、またダメージを受けやすいダッシュパネルのコンディションも申し分ない。搭載されるエンジンは、1783ccの直列4気筒で、この排気量はホットモデルの16Vに搭載される1763ccよりも多少ではあるが大きい。それゆえに、1トンほどの車体を動かすには十分なトルクを持ち、街中でのストップ & ゴーでも不満を感じることはなかった。レッドゾーンを目指してブン回すような性格のモデルではないため、4速A/Tでスムーズに走るコツを追求するのが正しい乗り方だろう。


シートバックと座面の厚みを見ればわかるように、オーバークオリティと言えるほど立派なシートが前後に備えられている。ホールド性は高くないが、腰を下ろすと面で体を支えてくれる感触に思わずにやけてしまう。
取材当初は夏本番前で、それほど気温は高くなかったため体感することは出来なかったが、毎日乗って楽しみたい方はエアコンの効きはチェックしておきたい。


リアパーセルシェルフはパーソナルクローゼットにもなり、耐荷重は10kg。リアのシートバックは分割可倒式で、また座面も可動式のため荷物に応じたシートアレンジが可能だ。
“バカラ”の名称こそないが、シートに腰を下ろし、そこから眺める内外装の仕立てにニヤリと出来るのはオーナーだけの特権だ。良いモノに乗ってる感を外へ向けて発するのではなく、独り占めできるクルマはそうそうない。

エンジンの存在は控えめのため、刺激が欲しい方は16Vがオススメ。とはいえ、排気量は1.8リッターもあるため、ストップ & ゴーでもたつくことはなく動力性能に不満はない。
1997 RENAULT LUTECIA 5D
車両購入価格●788,000円
スモールリッチ度 ★★★★
快適度 ★★★★
ドロ沼度 ★★

短期の試乗でも乗り手を強烈に刺激して虜にする類のクルマではなく、長く付き合うことで他には代えがたい“相棒”になってくれる1台だ。ジワジワとその魅力に侵されて、気づいた時には後戻りできない……、という点では非常に危険な100ドロ物件と言える。

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GATTINA
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