ターボエンジンに共通、新世代の無限エキゾーストサウンドはエンジンのゾーンがわかる
ホンダのモータースポーツ活動を支える無限は、ディーラーで購入できるチューニングパーツも豊富に用意するなど、ホンダユーザーにとっては欠かせないブランドだ。新車購入時に無限パーツを装着して、まるでコンプリートカーのように仕上げるオーナーも少なくないという。
その無限が、ワークスチューニングのデモカーとして用意したのは、シビック・タイプR、インサイト、CR-V、N-WGNの4台。いずれもエアロパーツとアルミホイール、そしてスポーツエキゾーストシステム(マフラー)といったチューニングプログラムを受けている。
その中でも、もっともスポーティなチューニング内容となっていたのがシビック・タイプRだ。純正バンパーにアドオンするタイプのエアロパーツに加えて、角度を調整できるカーボン製リアウイングや専用設計のブレーキパッドなどでパフォーマンスアップ。コクピットでは無限のロゴが入ったフルバケットシートやドライバー側にオフセットすることで操作性を向上させたクイックシフター、カーボンとレザーのステアリングホイールを確認することができる。電子制御サスペンションこそノーマルを活かしているが、かなりサーキットでのテスト走行を実施したという力作である。
たしかに、コーナーを一つ二つと駆け抜けると、ノーマルとは違いポイントに気付く。スタビリティを犠牲にせず、しかし回頭性が向上しているのだ。その秘密はホイールインセットにあった。リム幅はノーマルと変わらないという無限のオリジナルアルミホイール「MDCF」だが、インセットはノーマルが前後とも60mmなのに対して、「MDCF」ではフロント45mm、リア53mmとなっている。つまり前後専用設計なのだ。全体としてワイドトレッドにしたことで旋回性能を上げ、前後バランスではフロントを広めとしていることでターンインを鋭くなることを狙っている。またインセットを変えているが、タイヤ面の接地に違和感はなく、走行後の熱の入り具合を見ても、バランスよく使っていることがわかる。ホイールだけで、ここまで走りを変えることができるというのは、理屈ではわかっていても、体感すると驚きしかなかった。
しかも、このホイールで合計10kg、マフラーで8.5kgもの軽量化を実現しているという。ホイールではバネ下重量、マフラーは主にオーバーハングの軽量化につながっているわけで、こうした部分もコーナリング性能の向上につながっているのだろう。
そのマフラーについては、CR-V、N-WGNと音質に共通性があった。いずれもターボエンジンを搭載しているクルマゆえに、マフラーサウンドは基本的に低音傾向でジェントル。しかしブーストが高まり、最大トルクが出ているあたりにエンジン回転が達すると、音質が明らかに変化する。けっして音量は大きくなるわけではないが、音質の変化だけでエンジンのおいしい領域を使っていることが伝わってくる。まさにエンジンと会話できるスポーツエキゾーストシステムというわけだ。
NAエンジンを積むハイブリッドカー、インサイトにもエアロパーツやスポーツエキゾーストシステムといったディーラーで購入できるチューニングが施されていた。こちらもエキゾーストサウンドは変化するが、ハイブリッドの特性から加速感とエンジン回転がシンクロしない領域が多く、エキゾーストサウンドを楽しむにはアクセルを全開にせず、市街地で流れに乗るような走らせ方をする必要があった。逆にいえばスポーツドライビングをしないシチュエーションにおいて、ハイブリッドながらスポーツ気分が味わえるという点では、こうした味付けは、クルマのキャラクターにマッチしたものといえるだろう。
そのほか、無限のロゴが入ったスポーツマットなどがキャビンを彩っているのは4台に共通した部分。しかもマットのフィッティングが抜群なのもワークスらしいところ。ファッション的な要素においてもワークスチューニングの真髄を感じることができた。