順次新しいモデルがデリバリーされる992型のポルシェ911。高性能版の911カレラSに続き登場したのは、エントリーモデルとなる911カレラ。日本では“素のカレラ”と呼ばれ、ポルシェの素材そのものを味わえるモデルとしてとりわけ人気が高い。フランクフルトからシュツットガルトまで試乗した第一印象をお届けしよう。
“素”のカレラが911の根幹をなす
第8世代となった新型911、タイプ992も近年の法則にのっとりバリエーションを順次拡大している。今年7月にベースとなる「カレラ」と「カレラ・カブリオレ」が、そして9月のフランクフルト・モーターショーで、「カレラ4」と「カレラ4カブリオレ」という4WDモデルが追加された。
フランクフルト・モーターショーのプレスデー翌日、カレラをはじめとするベース系4モデルを乗り換えながら南へ約200km、ポルシェ本社のあるシュツットガルトへと向かった。
高性能なS系とベースモデルの最大の相違点は、もちろんエンジン出力だ。991型後期より採用された3L水平対向6気筒ツインターボエンジンを搭載するのは両者共通。カレラSが最高出力450ps、最大トルク530Nmを発揮するのに対して、カレラは最高出力385ps、最大トルクは450Nm。991比では+15ps、トルクは同値となっている。欧州仕様では最新の排ガス規制をクリアすべくガソリン微粒子フィルター(GPF)が備わるが、規制の異なる日本仕様では非装着で良いという。おそらく日本仕様のほうが水平対向エンジンのダイレクトなフィーリングを味わえるはずだ。
カレラの標準ホイールはフロント19インチ、リア20インチなのに対して、試乗車はオプションのフロント20インチ、リア21インチ、タイヤはグッドイヤーのイーグルF1を装着していた。また、タイプ992の特徴として、従来はRWDと4WDで使い分けていたボディ幅が統一されることになった。RWDでも4WDと同様、全幅は1852㎜に、またフロントトレッドは約50㎜も拡大した。