友だちに自慢するなら5008だけど、居心地がいいのはカングー
ただドアパネルのショルダーラインが高いので、特に左真横の視界は悪い。それを補うようにルームミラーの左端とセンターディスプレイにモニターされて、しかもその画像がとても鮮明なのだが、カングーに乗り換えると、いやいや単純に窓が肩の下まで広く大きいと見晴らしがいいんだわと笑ってしまう。カングーはとにかく見切りがいい。ルームミラーに写る後方視界だけはリアの観音扉のピラーが縦に視界を遮るせいでイマイチだけど、まあ明るく広々とした眺めにリラックスしちゃう。
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RENAULT KANGOO ZEN EDC
やや寝かされたステアリングホイールは「はたらくくるま」らしくて気分が上がる。そういえば久しぶりにキーシリンダーにキーを差し込んで回し、エンジンをかけた。サンバイザーを下ろすと、5008には当然ランプの点くバニティミラーが備わるが、カングーはカードが挿せるようになっているだけ。いいぞいいぞ。不思議なほど深くて大きなセンターコンソールに2Lペットボトルが2本丸ごと入って盛り上がる。天井の高さといったら、バンザイしても指先が天井に着かない。なんにもないって楽しい! 走りも名古屋名物ういろうのようにむっちりしていいかんじ。ステアリングは微アンダーにして美アンダー。一般道から高速まで急加速さえ求めなければとても力強く使いやすい6速EDCのセッティングのうまさには感心しきりだ。近頃は5008みたいに目張りの利いたSUVだと、煽り行為と誤解されないように控えめに走っておいたほうが無難だけれど、カングーのなごみ系ルックスには世間の目も温かいような気がしてのびのびする。
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多彩なカラー、アイコニックで個性的なデザイン、乗り降りや積み下ろしがラクラクの両側スライドドアやダブルバックドアなど、親しみやすさと機能性を兼ね備えたカングー。使い勝手の良さと快適さを両立した広々なインテリアも魅力だ。試乗車にはオプションのルーフバスケットラック(101,750円)を装着。カングーには5速MT仕様も用意される。
正直なところ、大容量のラゲッジスペースを使うといえば、年に数回のキャンプと自転車で出かけた子どもを迎えに行って自転車ごと積んで帰ってくるくらい。でもたとえば、いただいた泥付き野菜をぽんと載せるにも気兼ねがないのがいい。2日間2台に同乗した小4の息子曰く、「どっちも後ろの真ん中の席もちゃんと座れるのがいい。友だちに自慢するなら5008だけど、居心地がいいのはカングー」。はい、お母さんも同感です。