ザノッタ社とマセラティのコラボレーションから生まれたコレクションの第二弾、「MASERATI by ZANOTTA CAPSULE COLLECTION」が発表された。今回はその中から、エルメネジルド ゼニア社の生地を使ったラウンジチェア&オットマンをご紹介しよう。
※この記事はル・ボラン2015年2月号からの転載です。掲載商品は現在販売していないものもあります。
ザノッタ・グランツール リミテッドシリーズ エルメネジルド ゼニア
来年は引越しを予定していることもあり、家具が気になる。こんなリビングにしたいなぁとインテリア誌なんぞを見ながら憧れるのだけれど、そこにいる寝巻き同然の自分の姿を思い浮かべると妄想も終わり。現実は厳しい。それでも理想の暮らしを夢見て、あれこれ家具を物色するのは楽しい。
あまり自慢できる家具は持っていないが、やはり名作と呼ばれる椅子は長く使っていても飽きないし、時間が経つほど愛着が湧く。身体に触れるもっとも身近な家具ということもあるだろう。それに見た目の美しさだけではなく、椅子は食事、作業、寛ぐなどそれぞれ異なる目的に応じた機能性も備えなければいけない。そんな奥深さが、プロダクトデザイナーだけでなく歴代の名建築家までが椅子を手掛けている理由だろう。
ザノッタとマセラティがコラボレーションしたラウンジチェアも、そんな名作椅子に名を連ねるに違いない。昨年ニュークアトロポルテの発表に合わせて誕生し、第二弾は従来のレザー仕様から起毛シルクになった。だがシルクといってもエルメネジルド ゼニア社が手掛け、一説には生地の価格は4mで40万円近いともいわれ、レザーに勝るとも劣らない。むしろゴージャスさはこちらの方が上かもしれない。
これはザノッタが60周年、マセラティが100周年というアニバーサリーを迎えた記念モデルだ。特にマセラティは近年フェンディやゼニア、さらに時計でもブルガリといった高級ブランドとの親和性を深めている。ファッション、クルマ、時計、家具といったラグジャリーアイテムのひとつとして、顧客層がオーバーラップするのだろう。まさに優雅なライフスタイルの象徴だ。
座り心地もラグジャリーそのもの。シルク素材は肌触りもうっとりする。たとえ柔らかくてもマセラティのシートにも採用されており、耐久性はお墨付きだ。また座った感触も尻と脊髄のあたりのホールド感に優れ、通常のラウンジチェアとは趣を異にする。またアーム部は、張り出しこそ抑えられているがゆったりと腕を休ませ、立ち上がる時のサポートにもなる。これみよがしではなく、見えない部分にも機能を潜ませているのは、どこかドライバーズシートを思わせる。
マセラティは無理でもこれなら頑張れば手が届くかも。ガソリン代もかからないし。あとはこれにふさわしい家に住めるかが問題だ。
ZANOTTA GRANDTOUR LIMITED SERIES ERMENEGILDO ZEGNA
いまや世界のデザイン界を牽引する存在のザノッタ社は、1954年にアウレリオ・ザノッタの指揮のもと、ソファメーカーとして誕生。このザノッタ社とマセラティのコラボレーションから生まれたラウンジチェア「グランツール」は、マセラティ・クアトロポルテへのオマージュとして2013年に誕生。そのデザインは同車の優雅な曲線をイメージしているという。
今回ご紹介するのは、エルメネジルド ゼニア社のカシミアのような肌触りが特徴の、起毛させたシルク100%のファブリックをまとったラウンジチェアと、オットマンのリミテッドモデル。いずれも100脚限定。スタンダードモデルはフルグレインレザー仕上げとなる。
ラウンジチェア:1,119,000円(税抜)/オットマン:417,000円(税抜)。ほかライティングデスクとチェアもラインナップ。
●問い合わせ先:YAMAGIWA https://www.yamagiwa.co.jp/