あらゆる路面をカバーするスタッドレスタイヤ
トーヨータイヤから新型スタッドレスタイヤ「オブザーブGIZ2」が発売された。従来モデルに比べアイス性能を高めるとともに経年変化によるアイス性能の維持も図られている。加えてウエット及びシャーベット性能を向上させている。
オブザーブGIZ2はアウディA4で試したが、常に安定したグリップ性能を発揮して、ハンドリングも良好だった。
名前もオブザーブ・ガリットGIZからオブザーブGIZ2に変わり、大きく変化したことがうかがえる。際トレッドデザインも一新され、従来の左右対称パターンから非対称パターンとなった。
TOYO TIRE OBSERVE GIZ2
太い3本の縦溝を基調にしていること、センターブロックが3つのブロックを一塊にデザインされているのが特徴で、中央の2列のブロック列は、3つのブロックを一かたまりにデザインするとともに、左右にも大きなブロックをかみ合わせるように配置することでブロック同士が支えあり制動性能やコーナリング性能を高める働きをしているという。
TOYO TIRE OBSERVE GIZ2/トレッドは接地性を高めた非対称パターンを採用。サイズは13~18インチをラインナップ。なお、今回紹介した2モデルは2020年度グッドデザイン賞を受賞した。
吸着クルミゴムと名付けられたコンパウンドは、ひっかき効果の鬼クルミの殻、優れた吸水性能を発揮するNEO吸水カーボニックセルに加え、コンパウンドを柔らかく保つ新開発の持続性密着ゲルを配合。持続性密着ゲルの効果で4年後の氷上での摩擦力低下を抑制することに成功している。
またトレッドデザインとコンパウンドの進化によってアイス制動性能8%、ウエット制動性能18%、それぞれ向上しているという。
トレッドパターンの変更、特に複数のブロックを一つのブロックに見立てた配置は、氷上など入力の小さな場面では個別のブロックが仕事をし、ウエット路面など入力の大きい場面ではブロック剛性の高さを発揮する。その効果がテスト結果にも反映されているということだろう。
試乗した印象では、圧接路でエッジが効いていているのかハンドルの利きがいい、というのが第一印象だった。試乗車がカローラスポーツの4WDだったこともあって…じつはこのクルマ、かなりクイクイと曲がりたがる特性を持っている。その特性が素直に出ている印象。カローラスポーツに試乗した乗り味の素直な印象は、ちょっとクルマの向きが変わりすぎるかなというものだったが、これはクルマの特性を反映したもの。もっと穏やかな操縦性のクルマなら、タイヤの応答も穏やかになるはず。
実際アウディA4に乗り換えると、ぐっとクルマの動きが落ち着きが出て、アウディならではの操作に正確かつ機敏な操縦感覚WP楽しむことができた。もしかしたらコンパウンド自体の硬度はGIZよりも少しソフトかもしれない。ただ複数のブロックをまとめて一つの大きなブロックにして剛性を出すデザインが、しっかりした手応えとか素直な応答性を作り出している。
テストコースでの試乗ではブロック単体のソフトさを感じたが、一般道の速域だとハンドルの利きの良さ、ハンドルが利く安心感がもっと前面に出てくると思う。
氷の路面に踏み入れてみると、GIZとGIZ2の差は歴然。明らかにGIZ2のほうがヒタッと氷の路面をとらえグリップしているのが分る。接地面の広さ、コンパウンドが氷をとらえているグリップ感があし、グリップの高さからくる安心感がある。
ドライ路面やウエット路面を試すことができなかったのが残念だが、圧雪路で感じた複数のブロックが一つのブロックのように機能する剛性感はそのまま反映されるはず。GIZ2の狙いはユーザーが最も不安を抱く氷上性能を高めながら、ウエットブレーキが弱いといわれるスタッドレスタイヤのウイークポイントをある程度解消していることが期待できる。
氷性能の伸ばしながら、ウエット性能を高めることで、ドライ路面からウエット、シャーベット、圧雪路と、オールマイティにカバーするスタッドレスタイヤすることがトーヨータイヤの狙いだし、実際にそういう性格のタイヤに仕上がっていると思う。
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