
昔とはクルマの買い方が変わってきた。“買う”という表現すら古くなりつつあるのかもしれない。そんな新車販売の最前線で常にユーザーに寄り添い、結果を残すセールスパーソンに話を伺った。
クルマの魅力ではなくその“買い方”を伝えたい
「数字に強い」という事前情報を聞いて想像したのは、まるで敏腕税理士のように理路整然と数字を並べる姿だった。しかし目の前で話す平井涼介氏は、とても人間味のある雰囲気が印象的だった。
「クルマをどうやって手に入れて、乗り継いでいくか。それを提案する仕事だと思っています」
我々はクルマを所有する方法として、現金一括購入のほかに、残価設定を含むローンや、リースなどがあることを知っている。しかし、自分にとって何がマッチするかを熟知している人は少ない。発売時期や景気動向によってもベストアンサーは変わる。
メルセデス・ベンツ世田谷南 MB国際認定セールス
平井涼介氏
彼はユーザーと密にコミュニケーションを取って、最適なプランを提案してきた。新車販売店のセールスなら、発売間もない新型車を成約させることこそが絶対正義だと思われる。しかし彼は、場合によっては「あえて売らない」こともある。
「クルマの残価と、契約中のリースやローンの残債を照らし合わせて、いつどのタイミングでお乗り換え頂くのがベストか。結論はひとりひとり違う。新型車が出たとしても多額の負担金が発生して無理をさせてしまうようでは、そこに未来を描くことができません」
逆に購入してから時間が経たずとも、月々の負担が変わらなければ、次々と新車へと乗り換えるような提案もする。場所柄、法人としての所有や富裕層も多いので、彼の提案は節税対策にもなると評判だ。確かに経営のエキスパートや税理士は、財務の知識とノウハウは持っていても、そのクルマが持つ独特の人気度合いや、モデルチェンジのサイクルまでは考慮しない。そうした面までを包括して、彼は提案をしてくれる。
My Best Tool

認定中古車セールス時代を含めて今年で17年目を迎えた。いつも持ち歩くボールペンは、2008年にセールスの成績で表彰された時の記念品。がむしゃらに頑張っていた20代の頃を思い出し、モチベーションが上がるとか。
その活動は多くの支持を得て、赴任7年目にしてもう500台以上のクルマとユーザーの行く末を見つめるようになった。
「私は、その先の1台が見たいのです。いいアイディアを思いついたらすぐに提案しています」
本当に好きなクルマを買って、一生モノとして愛でるのは正解だ。それを理解しつつも、短期的に乗り継ぐ選択肢を用意する彼は、むしろ誰よりもメルセデスの魅力を理解していた。製品に揺るぎない価値が宿るからこそ、彼はあえてそれを訴えず、ファイナンスシステムを踏まえて最適なプランを提案する。それは今の時代にあって、誰よりも説得力を持つメルセデスの伝道師であると思えた。
座右の銘「 思い立ったが吉日 」
メルセデス・ベンツ世田谷南
住所:東京都世田谷区上野毛4丁目35-9
営業時間:9:30-19:00
電話:03-5706-6311
BMWを軸に結ばれるコミュニケーション
「どんなに忙しくても、事前にやると決めたことはやる。毎日、お客様に手紙を書くとかメールを打つとか、やらなかったり後ろ倒しにしても支障がないことを習慣付けていく。その積み重ねで今日の私があると思っています」
日本屈指のメガディーラーで新車のセールスをする佐藤瞬亮氏は、そんなマイルールを持って「習慣は第二の天性」だと己に言い聞かせる。多忙を極める仕事の中でプラスアルファのユーザー対応が好評を博し、今では年間100台以上をコンスタントに販売する。
BMW Tokyo Bay セールス・コンサルタント
佐藤瞬亮氏
「限られた時間の中で最大のパフォーマンスを出すためには、スピードと効率が重要だと考えます。だからと言って無味乾燥的に売って終わりではなく、必要なのはむしろお客様との密なコミュニケーションでした。常日頃から連絡を取り、私ごとの雑談もしながら、お客様の生活スタイルを知る。普段からそうしていれば、お乗り換えの際には自然とご提案できるようになりますし、商談からご成約まで短い時間で済むのです」
効率化は徹底している。電話は常にハンズフリー状態にしておき、会話をしながらPCの操作をする。ユーザーからの質問や要望に対して、極力折り返すことなく、その場で調べて即答するためだ。この1分1秒の積み重ねがもたらすレスポンスの良さは、ユーザーにとっても気持ちがいい。販売実績にして年間100台以上というのは彼の功績の、ほんの一側面に過ぎない。地道な効率化とコミュニケーション力を武器にした上に成り立つ、既存ユーザーの定着率こそが強みだ。今ではそうした些細な日常トークを発展させて、ローンやリース、クレジット、保険などクルマ以外のBMW商品を勧めるようになったら、また絆が深まった。ユーザーにとって彼は単なる新車セールスではなく、ライフプランナーのような存在だ。
My Best Tool

いつもハンズフリーで電話するためのBluetoothイヤホンは欠かせない。話しながらPCを操作しメモを取ることで1分1秒を無駄にせず、ユーザーも待たせない。聞き取りやすく耳に馴染むというお気に入りの製品がある。
BMW TOKYO Bayという環境も彼にとっては大きな武器だ。常にオールラインナップ体制で展示車や試乗車が揃い、クルマ以外の情報も網羅される居心地のいい場所だ。常に時間と効率を重視する彼は、この体制を恵まれていると自認しながら、今日もまた電話をかけメールを打つ。
「セールスの仕事って、地味な作業の積み重ね。でも、自分がやり遂げたい目標があり、そのためにどうすればいいか常に自問自答しています。その近道を背中で教えてくれて、自分を育ててくれた上司に出会えたのも大きい」
定期点検や車検、その後の代替えへの誘導など、売り手と買い手のストーリーは、実は売ってからが始まりだ。販売台数が増えるにつれて仕事量は激増するが、だからこそ彼は徹底した効率主義を貫きながら、人間同士のコミュニケーションを追求している。
座右の銘「習慣は第二の天性」
BMW Tokyo Bay
住所:東京都江東区青海2丁目2-15
営業時間:平日 11:00-19:00
土日祝 10:00-19:00
定休日:火曜日・年末年始・夏季
電話:03-3599-3840