新型コロナウイルス感染拡大による自動車需要減が歴史に刻まれる状況に
2020年の新型コロナウイルスの感染の拡大は、日本の自動車業界にも歴史に残るであろう爪痕を刻んだ。それ以前からクルマ離れなどで国内の新車マーケットは縮小傾向にあり、国内自動車メーカーは海外に活路を求め、海外生産を増やすことで業績を向上させてきた。2018-2019年あたりからやや頭打ちとなってはいたものの、2019年だけでトヨタは560万台以上、ホンダは430万台以上、日産も415万台以上を海外で生産し、全メーカー合わせても1000万台に届かない国内生産を大きく上回っていた。
ところがコロナ禍はその構図を一変させ、海外市場の販売減、それにともなう生産減少で頼みの海外生産が大きく減少。軒並み2ケタ減となり、2019年に過去最高を記録したスバルとダイハツも例外ではなかった。2019年は1858万5337台だった乗用車メーカー8社の海外生産台数は、2020年は18.7%減の1511万496台までと、350万台近く減ってしまう結果となった。
同じく8社の国内生産台数も16.3%減の771万4847台と大きく減っているが、減少幅は海外生産のほうが大きく、売上高や利益といった業績に影響をおよぼすのは明らか。コロナ禍の影響がどこまで残るか分からないが、しばらくは難しい舵取りを強いられそうだ。
だが今や世界最大のマーケットとなった中国市場の回復が予想以上に早かったこともあり、欧州メーカー同様、下半期(9-12月)は持ち直しの傾向も見られるようになってきた。トヨタは9月以降、世界生産はプラスへと戻しており、中国生産に限れば年間でも9.5%増と増加傾向を保っている。日産も12月は中国生産の増加で実に15カ月ぶりに世界生産をプラスに戻し、ホンダの中国生産も12月は過去最高、年間でも8年連続で増加。スズキもインドでの生産回復で12月の世界生産は過去最高となっている。
中国市場さまさまという面はあるが国内や北米も下半期は持ち直しつつあり、2020年の業績悪化は歴史に刻まれれるものの2021年は回復基調に移行する可能性は高い。国内、海外を問わず日本の経済を支える自動車産業だけに、V字回復とまではいかないまでも、新型コロナウィルスで低迷した経済の着実な回復が進むことを祈りたい。