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【コンチネンタル150年の軌跡】ピープル「コンチネンタルのタイヤ&オートモーティブのトップに訊く未来のモビリティ」

ニッポンのトップふたりに訊く「コンチネンタルが見据える未来のモビリティとは?」

「1974年にヤナセとはじめた市販タイヤ事業が日本での出発点です。その後、東洋ゴム工業(現トーヨータイヤ)や横浜ゴムと協業しましたが、さらにビジネスを加速させるべく2014年に日本法人を設立しました。これまでのパートナーと同じ市場でシェアを争うことは、コンチネンタルタイヤが成長するためにも重要なマイルストーンだったのです」

そう語るのは、コンチネンタルタイヤ・ジャパン代表取締役社長のニコラオス・キリアゾプロス(以下ニコラオス)氏だ。自動車の誕生以前から、馬車や自転車用タイヤを製造していたコンチネンタルにとって、タイヤ事業の伸長は最重要ミッションであったに違いない。

コンチネンタルタイヤ・ジャパン株式会社 代表取締役社長「ニコラオス・キリアゾプロス(Nikolaos Kyriazopoulos)氏」

2001年コンチテック入社。2005年よりタイヤ部門にて主に市販用タイヤ事業に携わる。2020年7月より現職に就任。

ニコラオス「成熟した日本のマーケットはとても競争が激しいです。タイヤメーカー世界トップテンのうち4社が日本ブランドで、わずかな国内ブランドしかない他市場とは状況が異なります。日本でのコンチネンタルタイヤの知名度はまだまだだと感じます。しかし、一般消費者から高品質だとご好評をいただけているのは、欧州プレミアムカーの新車装着タイヤで比較的高いシェアがあるからでしょう」
そしてコンチネンタルは、タイヤ製品以外にも世界中の自動車メーカーにパーツやソフトウェア、制御システム等を供給するメガサプライヤーである。その事業を日本に展開するコンチネンタル・オートモーティブの代表取締役社長を務める、バート・ヴォーフラム(以下バート)氏は続ける。

コンチネンタル・ジャパングループCEO「バート・ヴォーフラム(Bert Wolfram)氏」

1987年に独シーメンス入社。2007年の合併後も重職を担い2016年10月より現職に就任。

「世界乗用車生産台数の約30%を占める日本の自動車メーカーは、コンチネンタルにとって最大のカスタマーグループです。彼らのパートナーとして世界レベルのプロジェクトをサポートするためにも、自動車メーカーの本拠地である日本にオフィスを構え、彼らが必要とするサポートを的確に提供することが大切です。われわれコンチネンタルは、オートモーティブとタイヤの両分野で最先端技術を提供できる存在なのですから」
ニコラオス「バートの言う通り、日本法人を設立した理由はそこです。コンチネンタルには、『マーケットのことは、そのマーケット主導で』という方針があるので、日本の自動車メーカーに新車装着タイヤを供給するうえでも、開発パートナーとして彼らの要望に応えるためにも、主要タイヤメーカーが多い激戦区の日本にチームを置くことは、非常に重要な戦略だと考えています」
バート「日本の自動車メーカーとドイツのコンチネンタルは、互いにテクノロジーへの情熱を持っているので相性がいいと感じます。しかも、日独ともに技術開発に対する政府のバックアップが手厚く、とても協力的です。たとえば安倍元首相が、『東京2020オリンピックに合わせて一般公道で自動運転の実現を』と推進したことで、日本の自動車メーカーによる自動運転技術の開発が一層進みました。それはまさに、コンチネンタルがサポートできる得意分野です。2012年にわれわれは乗用車タイプのテストカーを日本に持ち込み、自動運転レベル3を目指して開発を進めました。その後2019年には、無人運転車両の公道実証走行のため、サプライヤーとして初めてナンバープレートも取得しました。そして2021年4月に東京・お台場で開かれたSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)による自動運転デモでは、コンチネンタルは自動運転レベル3の乗用車とレベル5相当のシャトルバスで公道走行を実施したのです」
ニコラオス「付け加えるなら、オートパイロットの制御技術を開発していても、タイヤまで手掛けているメーカーはほかにありません。オートモーティブ事業を有するコンチネンタルは世界で唯一の存在なのです。たとえ、ヒューマンエラーのない高度な自動運転技術を搭載したクルマであっても、安全に走行するためには路面との唯一の接点である、優れた品質と性能を持つタイヤが不可欠です。安全なモビリティは、コンチネンタルにとって重要な目標のひとつです。ウェットでも凍結・積雪路でも、安心して走行いただける製品を提供することにコミットしています」
バート「コンチネンタルでは、こうした安全なモビリティや電動化、コネクテッドに加え、“サステナビリティ”も包括的目標に掲げています。2050年までに全バリューチェーンのカーボンニュートラル化を目指す取り組みの第一ステップとして、昨年には全工場でグリーン電力の調達を実現して、対前年比で約200万トンのCO2削減を達成しました」
ニコラオス「もちろんタイヤの生産にも再生可能エネルギーを使用していますし、ロシアタンポポの天然ゴムや再生PETなどサステナブルな素材の研究を続けています」
──なかなか話題は尽きないが、おふたりのコメントの根底にあるのは、これまで150年もの年月でコンチネンタルを動かしてきたのは、テクノロジーの進化で社会とモビリティに貢献したいという情熱なのだろう。

取材協力
コンチネンタルタイヤ https://www.continental-tire.jp/car
コンチネンタル https://www.continental.com/ja-jp/

ル・ボラン2021年11月号付録より転載

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