テクノロジー

衝突軽減ブレーキの範囲を拡大した「HONDA SENSING 360」を初体験!【ホンダ安全ビジョン・テクノロジー取材会】part.1

ドライバーがブレーキを踏んでも衝突は免れないと思えるようなタイミングでしっかり停止

ホンダが日本でも近年中に導入予定の、「HONDA SENSING 360(ホンダセンシング サンロクマル)」をひと足早く体験することができた。場所は、ホンダが予防安全技術の実験を行うさくらテストコース(栃木県さくら市)だ。

HONDA SENSINGの最新バージョンを搭載したシビックでは、二輪車のダミーに向かって時速35kmで接近すると、警報が鳴り、そのままブレーキを踏まないでいると、衝突被害軽減ブレーキが作動するのを体験した。

最初に、新型ヴェゼルで導入されているHONDA SENSINGの最新バージョンを搭載したシビックに試乗した。まずは時速35kmで直線路の中央部分を走りながら、路外逸脱を防止する機能が作動する様子を体感。前仕様では時速65km以上で作動するシステムだったので、より低速でも機能するようになっている。

また、同一車線で停止している二輪車のダミーに向かって時速35kmで接近すると、警報が鳴り、そのままブレーキを踏まないでいると、衝突被害軽減ブレーキが作動するのも体験。これは2021年発売のヴェゼルから搭載されている二輪検知機能だ。

こちらは前走車が車線変更した後、前方に突然停止車両が現れ、緊急ブレーキが作動した状態。

次に、HONDA SENSING 360を搭載したアコードに試乗。これは前後バンパーの四隅には大きなアタッチメントがある開発車両で、ここに中距離対応のミリ波レーダーが装着されているのが特徴だ。

交差点で二輪車との出会い頭での衝突被害軽減ブレーキの体験。

最初のシチュエーションは、前走車が急に車線変更をして、目の前に突然停止車両が現れるという状況で、続いて交差点で二輪車と四輪車との出会い頭での衝突被害軽減ブレーキの体験。

さらに、右左折時の横断歩道での歩行者に対する衝突被害軽減ブレーキも体験した。いずれの場合も、普通のドライバーの感覚だと、もうブレーキを踏んでも衝突は免れないと思えるようなタイミングでしっかり停止することができた。

右左折時の横断歩道での歩行者に対する衝突被害軽減ブレーキの体験した。メーター内には前方に危険があることを知らせてくれる機能も備わっている。

見方を変えると、こうしたシステムによる強制的なブレーキ作動は、あくまでも最後の最後に頼れるセーフティネットである。こうしたリスクが生じることがないような運転を日頃から心がけないといけないと、改めて感じた。
このような機能については、システム構成は違うが、ユーザー体験としてはSUBARUの新世代アイサイトに近い印象がある。

見通しの悪い信号機のない交差点で、低速走行または停止状態から発進するタイミングに、右側から時速80kmで前方を交差するクルマが横切る状況では、接近車両を検知し車内に警報が流れる。

今度は、見通しの悪い信号機のない交差点だ。そこに低速走行または停止状態から発進することを想定し、右側から時速80kmで前方を交差するクルマが横切る。この状況だと相当速いスピードで迫ってくるように感じたが、中距離ミリ波レーダーがかなり前から接近車両を検知したことで車内に警報が流れた。

こうしたシチュエーションは日本では少ないかもしれないが、一般道路での走行速度が高いアメリカなどでは日常的に起こり得ると思った。
このほか、HONDA SENSING 360には、カメラでカーブの曲率を読み取る車速調整機能、車線変更時衝突抑制機能、そして車線変更機能が標準装備される。
HONDA SENSING 360は2022年に中国で発売する四輪車を皮切りに、日本を含めた先進国で2030年までに発売する全モデルへの展開を目指すという。

この記事を書いた人

桃田健史

専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。

桃田健史

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