モデルカーズ

ジャパンの意外な名作を、至高の名作へと昇華!バンダイ製プラモ「スカイライン2000ターボGT-E・S」【モデルカーズ】

ターボの追加で「名ばかりのGT」を返上

スカイラインはその頃、「すっかり牙を抜かれた」と言われていた。グロリアと共にプリンスから日産の車種となって10年以上が経ち、DOHCエンジン搭載のGT-Rはラインナップになく、エンジンも全てL型となって、その鈍重なフィールから「名ばかりのGT」などと他社から揶揄される始末。5代目スカイライン、通称「ジャパン」ことC210型系の話である。それでもジャパンは、大きく重くなりすぎた先代C110型系「ケンメリ」での反省から、C10型系「ハコスカ」への回帰を狙って開発されたモデルであった。

1977年、5年ぶりのモデルチェンジで登場したC210スカイラインは、「日本の風土が生んだ名車」という広告のキャッチから「ジャパン」の愛称で親しまれている。全長などの数字はケンメリより若干大きくなっているが、直線的でシャープなデザインのボディはぜい肉がそぎ落とされた印象で、特に2ドア・ハードトップはファストバック・スタイルからノッチバックに戻ったこともあり、「ハコスカへの回帰」という言葉にも納得できるものがある。ロングノーズの6気筒GTとショートノーズの4気筒というシリーズ構成は継承され、後者には新たに「TI」という名前が与えられた。

機構的には先代のものを継承しており(ということは先々代からの継承である)、前ストラット/後セミトレのサスペンション(GT系)などはそのままだが、熟成を極めたGTらしい乗り味は、実際には他の自動車メーカーが真似したくともできないレベルのものであったという。エンジンは前述の通りL型6気筒2L(GT系)で、インジェクション仕様のL20E(130PS)とキャブ仕様のL20S(115PS)が搭載された。なお、TI系のL型4気筒は、登場翌年にZ型エンジンへと変更されている。

ジャパンでの白眉となるのは、やはり1980年に追加されたターボ仕様であろう。これは前年にセドリック/グロリアに搭載されて登場したL型のターボエンジンL20ETをスカイラインにも載せたもので、最高出力145PSを発揮、GT-Rの復活を思わせるものであった。歴代スカイラインの中でも旧車としての人気は控えめなものと言われるジャパンだが、現役当時の人気ぶりは素晴らしいもので、1年あたりの販売台数で見ればケンメリと同等のものと言ってよい。

ここでお見せしているのは、このジャパンの2000ターボGT-E・Sを再現したバンダイ製1/20スケール・プラモデルを制作したものである。実車の人気を反映してジャパンのプラモ化の数は多いのだが、そのプロポーションを忠実に再現できていると思えるものは意外と少ない。一般に名作と言われているのはマルイ1/24であろうが、この作例の作者は「バンダイこそ最高」と公言して憚らないようだ。

ボディ細部の改修とエンジンルームの再構築
バンダイ製ジャパンのボディはプロポーションが良いとは言え、手を入れた方が良い部分もいくつかある。まずリアエンドが逆スラント(?)気味のように思えるので、プラ板を貼った上で削り込んで成形。併せてトランク中央の盛り上がりも後端へ向けて収束するように加工、サイドもヒケを処理しエンブレムのモールドを削除した。ヘッドライトは高さがありすぎるので上部を削り、厚みも薄くしている(いずれも写真右が加工後)。

リアピラーが太く見えるのだが、これはサイドウィンドウの形状がいけないようだ。黒くマーキングした形になるよう、一旦窓枠を削除した上でピラー側も削り込み、その後プラ棒で窓枠を作り直し。リアガーニッシュは全体に形がぎくしゃくしていて不自然なので、ニチモのキットから流用することにした。そのまま使うと勿体ないので複製を取った上で使用。ニチモのボディはかなり幅が広いのでガーニッシュも幅広だが、左右を削ることでなんとかバンダイのボディにハマッてくれた。

エンジンルームは補器やタンク類が一体モールドでタイヤハウスも大きく、再現性に乏しい。これを改善するべく再構築を行ってみた。まず、ストラットタワー部分をプラ板とプラリペアで補強した上で、タイヤハウスを切り取る。これは一度に全てをやらず1ヶ所ずつ作業するのがよい。1/24スケールのキットから同部位を切り出し、接着して隙間を埋めていった。また、ラジエターサポート部分がないのでプラ板から切り出して自作。

ラジエターシュラウドは四角い形をしていて実物とはまるで違うので削除。ファンの収まる部分を不要なホイールから切り出し、エンジンと組み合わせた上で位置を確定して接着、周りにプラ材を接着し形を削り出した。エアクリーナーのフィルターボックスはシャシーに一体の上げ底状態だったがこれは削除したので、プラ材で自作。ステー部分はモーター走行用のユニットケースから切り出し、この下に実車同様イグニッションコイルが収まるように改めた。インマニには燃料の配管がモールドされているが実感に乏しいので削り落とし、金属線で作り直している。

こうした工作の成果が上でお見せした完成状態の写真だが、都合により配線の類を大幅に省略したのが心残りとのことである。リアフェンダーおよびトランクリッドのエンブレムはボディ形状の修正の際に削り落としたので、アオシマ1/24ジャパンターボ(マシンX)のエッチングを装着。若干オーバースケールにできているので1/20にもジャストフィットだ。リアガーニッシュのほか、ホイールとダッシュボード、オーバーヘッドコンソールもニチモのパーツを使用している。

作例制作=秦 正史/フォト=羽田 洋 modelcars vol.227より再構成のうえ転載
LE VOLANT web編集部

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