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ハセガワ製プラモ「ランボルギーニ・イオタSVR」がフル再現モデルに変身!?驚異のエンジン再現テクに瞠目せよ【モデルカーズ】

失われた影を求めて――ミウラ・ベースの”レプリカ”車

ランボルギーニ・イオタ――クルマ好き垂涎のモデルだが、イオタという名のランボルギーニはすでに存在しない。真のイオタと言われる個体は、テスト走行中のクラッシュで炎上、廃車となって消えてしまった。そして、このイオタと言われている個体には、実は正式なネーミングは与えられていなかった。単に「J」というアルファベットで呼ばれていたのが、いつしか「イオタ」になったのだという。イタリア語では通常「J」は使われない文字のため、「I」に置き換えることがある――これを逆手にとって、「I」を意味するギリシャ文字の「ι(イオタ)」と、遊び半分に呼ばれていたのだそうだ。

イオタのベースであるランボルギーニ・ミウラは1966年3月のジェネーブショーで正式発表された。ベルトーネによる美しいボディの中には、3.9LのV12エンジンが横置きにミッドシップで搭載されている。このミウラの基本構造を生かし、レース仕様としてモディファイされたのが、イオタであった。前述の呼び名の由来である「J」とは、当時のFIA車両規定のうちの付則J項目、ツーリングカー/GTカー・カテゴリーに合致するよう製作されていたことにちなむと言われている。

創業者フェルッチオ・ランボルギーニはレースに興味がなかったため、ランボルギーニのメカニック兼テストドライバーであるボブ・ウォレスが、業務時間外にコツコツと造り上げたのがこのJだといわれている。ミウラをベースにしたとは言え、共通なのはルーフパネルくらいのもので、それ以外は新規に設計された。ボディはアルミ製で、エンジンは最高出力440PSまでチューン(ミウラではP400で350PS、P400Sで370PS)、最高速度も300km/hを軽くオーバーしていたという。

せっかく造り上げられたJ(イオタ)であったが、社是としてレースに参戦することはなく、売却され何人かの人物の間を転々とした。前述の通りテスト走行中にクラッシュしたのは、1971年4月のことである。事態を複雑にしたのはこの後の経緯による部分が大きい――Jの強烈な印象から、同様のミウラを熱望する声が大きく、ランボルギーニ自身がそのレプリカとも呼べるモデルを何台か製造・販売したのだ。これらの車両はランボルギーニによる呼称はミウラSVJとなるが、そのうちの1台は特別にSVRと呼ばれている。

SVRと呼ばれるのは、西ドイツ(当時)のランボルギーニ・ディーラーのオーダーにより1975年11月にイオタ仕様となった個体だ。足周りはミウラSVのものが使われ、エンジンもチューンされるなど、かなり本気の仕様となっていたのが特徴である。

さて、ここでお見せしているのは、このSVRを再現したハセガワ製1/24スケール・プラモデルを完成させたものである。ただし、このキットがお手許にある方ならよく分かるはずだが、キットではエンジンは外から見える一部分しか再現されていない。そこでこの作品は、フジミ製カウンタックからブロックなどを流用してエンジンを再現したのである。

カウンタックからエンジンブロックを移植!
ハセガワのキットは、リアウィンドウの向こうやカウルのスリットから見える範囲でエンジンが再現されるのみだが、それでもミウラとの違いがきちんと押さえられているのは嬉しい。そのまま組むと下の2枚目の画像のようになるが、このヘッドカバーなどを活かしてみよう。まず上部パーツのエンジンとフレームの間にドリルでいくつか孔を開け、それを繋げるようにカッターで切れ目を入れて、少しずつ深くしていき切り離す。サブフレーム後端部のパーツも、本来なら抜けているはずの部分を開口。どちらもヤスリで仕上げておく。

ほぼ同じエンジンを積んでいるカウンタック(フジミ製)からブロックやヘッド部分等を流用、全く異なるミッション部はキットのパーツを生かした。キットではちらりと見える部分(左右端)のみの再現なので、その間の部分をプラ板で新造。ミッションのパーツはその一部がシャシーに取り付く形なので、そこにハマる形でエンジン側に切り欠けを設けた。リブ等の細かなディテールは0.3mmプラ板で追加。WAVEのキャラクターモデル用ディテールアップパーツを使うと意外に便利だ。サブフレーム各所には軽量化のための軽め孔が開いているので、孔を開けたプラ板を貼ったり、元からあるモールドを開口したりして再現。

シャシー後端のパイプフレームは本来2本のパイプが継ぎ合わされて三角形を形作っている部分だが、キットでは一体化されて三角形の塊になっている。上側を残してナイフで削り落とし、残った上側をパイプらしく成形した上で、下側をプラ棒で追加した。オイルパンやデフはキットのまま(シャシーと一体)、そこにドライブシャフトを取り付ける構造もそのまま利用。ボディカウルは当然一体成型なのでナイフで注意深く切断、シャシー/エンジンと合わせてみると様々な箇所に隙間が空くので、それらをプラ板で塞いでいった。

エンジン関連で自作の必要な部品を作っていく。エキゾーストマニフォールドはプラ棒を曲げて組み合わせ。キットのエキパイは2本まとめて一体なので切り離して成形し、自作したエキマニと繋げる。前側から回ってくるエキパイはキットパーツをそのまま使用。キャブレターもキットパーツを使うが、細部をプラ板等で追加。エンジンをシャシーに載せフレーム等を組んでから、細い被覆線でプラグコードを配線した。フレームのサポートメンバーやスタビライザーなどを洋白線で追加するため、プラ板や伸ばしランナーでその基部を作る。メンバーやスタビを追加し、塗装したキャブレターもエンジンに取り付け、出来上がり。

エンジン周りの工作以外の説明は省略した。この作例を参考に、さらに余力がある方ならば、キャブレターに装着されるファンネルをラッパ型に取り換え、メッシュの防塵カバーを追加するなどして、より実車に近づけてみると良いだろう。

作例制作=棚瀬和重/フォト=羽田 洋 modelcars vol.195より再構成のうえ転載
CARSMEET web編集部

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