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迫力のルックスも魅力のGr.4マシーン
ポルシェ934は、911ターボ、いわゆる930ターボをベースに生まれたレース用のホモロゲ・モデルである。同様の成り立ちである935が当時のグループ5規定に合わせたマシーンであったのに対し、934はグループ4規定に合致させたものだ。搭載されるエンジンは911ターボと基本的には同じながら、水冷式のインタークーラーを装着し、強制空冷ファンの取り付け位置をエンジン直上に変更するなど、様々に手が加えられている。その結果、最高出力は911ターボの260hpから485hpへと大きくアップ。
【画像42点】デニムカラーの934、その全貌と制作過程はコチラ!
サスペンションも基本的には変わらないものの、コイルスプリングを追加するなど強化されており、調整式のスタビライザー(前後とも)も装着。さらにブレーキもドリルドディスクとなるなど、あらゆるところに手が加えられている。1976、1977年のレースに向けて生産された934は(グループ4の規定を満たすには2年間で400台の生産が必要)、有力プライベーターの手により各地のレースで活躍。DRM(ドイツ・スポーツカー選手権)のタイトルを獲得するなど、圧倒的な強さを見せつけた。
プラモデルの世界では、タミヤが1/12スケールでリリースしたイェーガーマイスター仕様(マックスモリッツ・チーム)の934が特に有名だが、タミヤは2013年、1/24スケールでも934のキットをイェーガーマイスター仕様で発売した。翌年にはヴァイラント仕様(クレーマー・レーシング)もバリエーションとして送り出している。これに刺激されたものか、今度は2017年にドイツレベルが934をプラモ化。プロポーションモデルであるタミヤとは逆に、こちらは前後フードが開閉しエンジンや燃料タンクが再現されたフルディテール・キットとなっている。
タミヤ製キット用社外デカールで仕様変更
ドイツレベルのキットはイェーガーマイスターとマルティニの2仕様がリリースされているが、ここでお見せしているのは、このレベルの1/24スケール・キットをベースに、スタジオ27製デカールを使用して、1978年シルバーストーン6時間に参戦したマシーンを再現したものだ。このゼッケン25番のマシーンは、ラングラー・レーシングチームのもの。あのジーンズのラングラーであり、ボディカラーもデニムのブルーが特徴だ。各部にステッチが入って”らしさ”を演出、フロントフードには開いたジッパーが描かれ、そこから黒いゼッケンが顔を出しているという、セクハラすれすれな(現代の感覚では「そのもの」かもしれない……)カラーリングとなっている。
作例では、カラーリングの変更のみでなく若干のディテールアップや足回りの調整を加えた。エンジンも精密に再現され、塗り分けと少しのウェザリングを入れてやれば申し分ない表情を見せてくれるが、作例はプラグコードを追加。フロントフード内側はボディと一体で成型されているため、やや塗り分けが大変だ。
スタジオ27のデカールは元々タミヤ製キットに合わせた製品なので若干のズレやサイズ違いはあるが、おおむね問題なく貼ることができた。フロントの、コクピットにエアを導入するダクトがデカール再現となっているので、開口しスリットを洋白板で再現。フロントフードおよびエンジンフードのキャッチピンはキットのモールドを削り落とした後、エッチングパーツに置き換えている。ボディカラーはクレオスのインディーブルーと色ノ源シアンを1:1で混ぜ、ガイアの純色バイオレットを極少量入れて塗装。当時の実車画像は少なく、色あいも写りによって違うので、自分のイメージに近づけたという。
- ウィンドウパーツは外側からハメ込む方式。塗装・クリアーコートの厚みを考えてフチを削り、余裕を見ておく。
- サッシ部分を塗り分けやすくするため、軽くタガネで彫り込んでおく。
- 開閉部パーツは擦り合わせをしておき、両側を削り面を合わせた。
- ボディとバンパーの合わせのズレも修正。
- ラングラー仕様では牽引フックの位置が逆になるので、キットのモールドは穴埋め。
- 反対側にフック取り付け用のモールドを彫り込む。
- フロントフード後ろのスリットが省略されているので、まずピンバイスで孔を空けていき、
- ナイフで繋げて整える。
- 細く切り出した洋白板を縦に差し込み出来上がり。
- ツブれ気味なスポイラー境界線のモールドを、ビニールのマスクテープをガイドにして彫り込む。
- オーバーフェンダーのパネルラインはデカールでの表現となっているので、これも同様に筋彫り。
- その他、ボディ各部のモールドをタガネで彫り増し。
- MyStarシート800番などで全体をアシ付け。スジボリのオーバーランはラッカーパテで修正した。
- ラングラー仕様の給油口は3つともフロントフードにフタが付く。レベルのキットでは2箇所にしかフタがないので、3つ目はタミヤ934のエッチングパーツを流用した。
- サフはクワトロポルテ ティーポプライマーサフェイサーを使用。
- 染み上がりを考え、念のためシルバーで塗装したがこれは失敗。本塗装のノリが悪く剥がれやすくなってしまった。
- インディーブルーと色ノ源シアンを1:1、さらに純色バイオレットを極少量という混色で塗装。
- スタジオ27より発売されている、タミヤ934用のデカールを使用した。
- 仮組みの結果、車高をすこし落とすことに。フロントはシャシーのサスペンション支持部をカットする。
- その分ストラットの根元にプラパイプの輪切りをはめて、車軸が上に上がるようにする。
- パイプはロアアーム側に接着した。
- これでフロントは完了。リアはサスペンションのパーツを削り込んで解決。