抜群のハンドリングを生む小柄なボディ 初代CR-XであるバラードスポーツCR-Xは、1983年、シビック/バラードの派生車種でありながら、そのモデルチェンジに2ヶ月ほど先立ってデビューした。その誕生の影に窺えるのは、いまひとつパッとしないバラードを盛り上げ、ひいては、バラードの販売チャンネルであるベルノ店の看板車種にしようという狙いである。ベースとなった3代目シビックそのものの完成度が高かったこともあり、初代CR-Xは1980年代を代表する名車のひとつとして、今も語り継がれるほどの成功を収めた。 【画像36枚】美しく仕上げられたCR-Xの全貌と制作過程はコチラ! スポーティさを全身で表現した小気味よいボディスタイル、シビックよりさらに短いホイールベースがもたらすクイックなステアリング、そして軽量な車重による軽快な走り。ボディ各部には様々な新素材が使用されており、最軽量モデルで重量760kgであったという。その操縦性は、”FFライトウェイト・スポーツ”という新ジャンルを確立してしまうほどインパクトのあるものであった。当時のホンダのラインナップは、あのシティを別とすれば初代クイントや2代目アコード/初代ビガーなど、地味なモデルで構成されていただけに、初代CR-Xはかつてのホンダらしさを色濃く感じさせるモデルとして、大いに歓迎されたのである。 初期のバラードスポーツCR-Xは、1.3Lのベーシックグレード「1.3」と、1.5Lの「1.5i」というラインナップであった。エンジンはいずれも直4のSOHC、当時のホンダ自慢の12バルブ(1気筒あたり3バルブ)ユニットである。登場翌年の1984年秋には、1.6LのDOHC 16バルブ(最高出力135ps)を搭載したトップモデル、Siが加わっている。マイナーチェンジを経て2代目CR-X(バラード~の名前は落とされた)へとモデルチェンジしたのは1987年のことであった。 シート地をチェック柄にするお手軽な方法を紹介! 3代目シビック、いわゆるワンダーシビックとともに人気車種となった初代CR-Xは、プラモデルの世界においてはいずれもタミヤのみから1/24キット化されている。どちらも前期型で、CR-Xは登場当初の上級モデル1.5iを再現したものだ。リリース当時の流通だけでなく再販も行われているが、それもだいぶ前のことで、現在入手するには割と手こずるかもしれない。キット内容はプロポーションモデルであるが、簡単なパーツ構成ながらシャシーやインテリアも手際よく再現された、好感の持てるものだ。 ここでお見せしているのはそのタミヤ製キットを美しく仕上げた作品だが、特に注目して頂きたいポイントがひとつある。タミヤのCR-Xでは、白地に青または黒のチェック柄という実車のシート地を、「そのように塗れ」と指示しているだけなのだ。ここはあまり好感の持てる部分ではなく、その実現に頭を悩ませたという話もよく聞く。作例ではそのポイントに比較的簡単な解決策を示してみたので、ここにご注目頂ければ幸いである。なお、ボディカラーのブルーはクレオスのインディ―ブルー+ウイノーブラックで塗装、フロントバンパーのウィンカーは塩ビを使ってクリアー化を行っている。 シャシーに一体でモールドされている(その周囲は抜けている)エンジン下部は、切り離した方が塗りやすい。 ボルト類にシルバーやゴールドを乗せると雰囲気が出る。 仮組みしてみると、トレッドがボディに対して微妙に広い。 リアも同様だ。 ホイール内側中心部、車軸の根元を0.7mmほど削り込んだ。 タイヤがすこし引っ込んでロードカーらしくなった。 ホイールはメッキの質感が軽いので、剥離してスターブライトシルバー(ガイアカラー)で塗装。 シートは背面の肉抜きをプラ板で塞いでおく。 シートのチェック柄は、クリアーデカールの上にビニールメッシュ(他キットの残り物)を重ねて、 上から白を吹いて再現した。 シートにマスキングテープを貼って一面ずつ型取りし、デカールを切り抜く型紙を作成。 チェック柄の色はシートの地の色が透けて見えている。内装色が黒でも青でも、デカールは白でOK。 ペダルが省略されているので、プラ板で自作した。 メーターパネルは底の部分を切り離し、デカールを貼って透明カバーを奥にセットする。 組み上がった室内。 シートベルトは製本テープを細切りして黒く塗ったもの。金具とキャッチはプラ板で自作している。 サンルーフのフチがルーフ表面から出っ張るので、フチの内側を筋彫りしてから、パネルとツライチになるまで削り込む。 スライドパネルの裏面がルーフ開口部のフチに当たるので、裏側を削っておいた。 全文を読む 作例制作=北澤志朗/フォト=羽田 洋 modelcars vol.178より再構成のうえ転載