モデルカーズ

「初代ローレル」は510ブルから作れるのか!?ハセガワ製プラモのボディを切断・延長して実証!【モデルカーズ】

営業用モデルを持たない高級オーナーカー

1968年4月、日産から全く新しい車種として、ローレルが発売された。このローレル(C30型系)は、ライトバンやタクシー仕様などの営業用モデルを持たない、オーナーカー専用モデルとされていたのが特徴である。車格としては、ブルーバードとセドリックの中間に位置するものであり、日産では「高級オーナーカー」と銘打っていた。所謂ハイオーナーカーの走りであり、1980年代に全盛を迎えたハイソカーの元祖というべきものである。

【画像60枚】見事姿を現した1/24スケールの初代ローレルとその制作過程を見る!

ボディタイプは4ドア・セダンの1種類のみ。前年にデビューしていた3代目ブルーバード(510型系)に似た印象のボディラインを持つが、サイズはひと回り大きく、低く鋭く尖ったフロントフェイスや、ゆったりとしたキャビン周りの造形に、その優位性が表れている。フロントフェンダーに設けられたポートホール状の飾りは、GMにおいてキャデラックに次ぐ地位であるビュイックのそれを模したものであろう。

このボディスタイルだけでなく、サスペンションも前マクファーソンストラット/後セミトレーリングアームの四輪独立懸架で、外観と機構の両面において510ブルーバードとの共通性が強いことになる。これは実は、ローレルの方が先行して開発が進められていたものの、ブルーバードのモデルチェンジ予定が早められ、ローレルの内容をかなり活かす形で510が先にデビューしたことによるのだという。

そのため、三角窓を廃したスタイリングなどのインパクトは薄められてしまい、同様の車格でローレルより遅れて登場したトヨタのコロナ・マークⅡには、販売成績の面で後塵を拝する結果となってしまったようだ。ただし、ローレルはステアリングにラック&ピニオン式を採用しており、この点ではブルーバードより進んだ設計であった。搭載されるエンジンは直列4気筒OHC 1.8LのG18型。多球形燃焼室とクロスクロー構造が特徴で、最高出力は100psを発揮した。これはスカイライン用に開発されたG15の排気量をアップしたもので、追ってスカイラインにも採用されている。

グレード構成においては「デラックスだけをラインナップ」というのも売りで、デラックスAとデラックスBの2種類を用意。後者の方が豪華な仕立てとなるが、デラックスAではドアサッシ周りのクローム加飾などが省略され、フロントグリルやテールのデザインも異なるほか、時計とラジオもオプションで、見ようによってはこれはただのスタンダードではないか、と言うこともできるだろう。

1970年6月には、日産初となる2ドア・ハードトップを追加。ファストバック的なルーフラインが特徴で、エンジンは2Lに拡大されたG20を搭載。トップグレードのGXに搭載されるのはSUツインキャブ仕様のG20で、最高出力は125psであった。その2か月後にはセダンもマイナーチェンジを行い、トップグレードのGLを追加。翌年にはセダンにもG20が搭載され、1972年4月に、2代目のC130型系へとモデルチェンジを行っている。

キャビン周りは大きく手を加えずにボディを拡大
そんなC30型ローレルであるが、プラモ化は今までなされていない。2代目・C130の人気から考えると、その落差は激しいものがある。あるいは、すでに述べたようにスタイリングの類似性から、ハセガワ製1/24スケールの510型ブルーバードを拡大すれば初代ローレルが作れるのではないかと、夢想した方もいらっしゃるのではないだろうか。そこで、その夢想を実現してみたのが、ここでお目にかけている作例である。

C30ローレルの“最高レベル”での模型化とするには、より煮詰めが必要と思われる部分もあるであろう――今回はガラスのパーツを流用するため、キャビンの基本骨格にはさほど手を加えていない。しかしそれでも、510からローレルを作ることは可能であると証明するには、十分な出来栄えとなったのである。この作例を仕上げる過程は、同時に510ブルーバードとC30ローレルの形状の違いを把握していくプロセスともなった。この2車がどのように異なり、それをどのように模型として作り上げていくか、その過程は工程写真に付したキャプションでゆっくりとお楽しみ頂きたい。

作例制作=ダッズ松本/フォト=羽田 洋 modelcars vol.182より再構成のうえ転載

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