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NSXタイプSを公道試乗! ノーマルを凌駕する圧倒的なパフォーマンスはここで終わるには惜しい1台【国内試乗】

限定30台の高性能版NSXは生産中止が惜しまれる秀作

2022年8月、生産終了のアナウンスに合わせるように発表された2代目NSXのファイナルバージョンとなるタイプS。世界限定350台のうち、国内に割り当てられた30台もすでに完売となっているが、果たしてそのパフォーマンスはいかなるものか? 公道初試乗でチェックしてみた。

【写真44枚】そのパフォーマンスはノーマルとは完全に別物! NSXタイプSの詳細を写真で見る

ノーマルとは別物レベルのパフォーマンスを披露

ボディカラーは写真のカーボンマットグレーメタリックのほか、スポーツカーらしいイエローやオレンジなど、全10色を用意。

ホンダNSXに国内限定30台で追加されたタイプSに、初めて公道で試乗する機会を得た。このタイプSはノーマルのNSXをベースに、かなり手が加えられているのが特徴で、日本を含めた世界限定台数はわずか350台。しかしながら、その台数からは考えられないほど変更点は多く、圧倒的なパフォーマンスアップが図られた1台だ。

エクステリアでは専用のフロントマスクやテールエンドを空力性能向上のために採用。また、タイヤはタイプSのためだけに専用開発されたピレリPゼロを履く。パワーユニットは搭載される3.5LのV6ツインターボエンジンの最高出力を22ps引き上げ529psへ、最大トルクも+50Nmの600Nmへと向上。エンジンのみならずモーターも出力アップが図られており、併せてバッテリーも使用可能容量を20%拡大している。

加えてフロントのふたつのモーターが20%ローレシオ化されたほか、EVでの走行領域を拡大。これまではクワイエットモードでEV領域が37%だったものが、91%へと引き上げられたことで、ほぼEVで走れるようになった。

一方SH-AWDの制御も変更されており、定常旋回時ではフロントの駆動をカットして後輪駆動のみとしたり、逆にコーナーからの立ち上がりでは前輪の駆動を以前よりも30%も増すなどしている。

サスペンションでは、磁性流体式のアクティブダンパーを大幅に変更し、乗り心地を向上しつつノーマルより高い運動性能を実現した点も興味深い。

コクピットはレザーとアルミのトリムをベースに、メーターやステアリングなど一部にカーボンを採用。シートはセミバケットタイプで、素材にはセミアリニンレザーとアルカンターラのコンビが使用されている。

さっそくクワイエットモードで走り出すと、EV走行領域が拡大されていることがすぐに確認できる。従来は割と早くエンジンがかかっていたが、タイプSは街中領域ではモーターでのみ走行する印象。またメーター表示も変更され、どれだけ踏み込むとエンジンがかかるかがわかりやすいので、EV走行領域をキープしやすかった。

そして、特筆すべきなのが乗り心地の良さで、ノーマル以上なのはもちろん、最近のスーパースポーツの中でもトップクラスといえるほど。特にサスペンションが伸びる方向の動きがしっかりと抑えられており、滑らかでフラットな乗り味を生み出している。

パワートレインは3.5L V6ツインターボユニットと前軸2、後軸1の3モーターに9速DCTの組み合わせ。システム最高出力は610ps、最大トルクは667Nmを発生する。

ワインディングで走らせると、従来以上にナチュラルながらも圧倒的に操りやすい。試乗時は豪雨だったが、その中でも不安なく走れるだけのグリップをしっかりと生み出し、ハードな走行をしても不穏な動きはなく路面を捉え続ける。この走りに加わるのがエンジンからの快音だ。性能アップだけでなく、エキゾーストサウンドもこれまで以上に気持ちよく耳に届き、アクセルを踏み込んだ際の加速感も、回転が高まるにつれて力が増して伸びやかに加速する様が実に気持ち良く、これまで以上に高揚感が得られる。

さらに高速道路ではきわめてフラットな乗り味で、どこまでも突き進んでくれるような直進性と安定性が確保されている上に、シフトダウンのパドルを引き続けると、最適なギアまで一気に落としてくれる操作性の良さも加わり、即座に加速態勢に移ることも可能だ。

このようにその走りは、ノーマルのNSXとはまるで別物。まさにこの世代のNSXのポテンシャルを最大限に引き出した1台に仕上げられている。

これでNSXがモデルライフを終了し、なおかつこのタイプSの圧倒的な完成度の高さを味わえるのは国内でも30人だけ、という点はあまりに残念にも思える。しかしホンダは、今後もスーパースポーツや電動スポーツモデルを用意することをすでにアナウンスしているので、今後に期待したい。

【Specification】ホンダNSXタイプS
■全長×全幅×全高=4535×1940×1215mm
■ホイールベース=2630mm
■車両重量=1790kg
■エンジン種類/排気量=V6+B39DOHC24V+ツインターボ/3492cc
■最高出力=529ps(389kW)/6500-6850rpm
■最大トルク=600Nm(61.2kg-m)/2300-6000rpm
■モーター最高出力(前)=37ps(27kW)/4000rpm
■モーター最大トルク(前)=73Nm(7.4kg-m)/0-2000rpm
■モーター最高出力(後)=48ps(35kW)/3000rpm
■モーター最大トルク(後)=148Nm(15.1kg-m)/500-2000rpm
■燃料タンク容量=59L(プレミアム)
■トランスミッション=9速DCT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:ウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=245/35ZR19:305/30ZR20
■車両本体価格(税込)=27,940,000円

ホンダNSXタイプS公式サイト

ルボラン2022年10月号より転載
河口まなぶ

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