今シーズンのF1でランキングトップを独走中のレッドブル。その心臓部ともいえるパワーユニットの供給を担っているホンダ・レーシングのサクラ研究所がメディアに公開され。
【写真42枚】レッドブル&アルファタウリF1の心臓部を司る「HRCサクラ」の詳細を写真で見る
トップシークレットだらけの最先端技術が集約した施設
先ごろ、F1のパワーユニット供給に関して、レッドブル・パワートレインズに2025年まで支援することを発表したホンダ・レーシング(以下HRC)。その中枢を担っているのがHRCサクラだ。ここではレッドブルとアルファタウリのF1チームにパワーユニットを供給しているほか、スーパーフォーミュラやスーパーGT車両の開発も行なっている。今回初めてその研究施設がメディアに公開された。
取材が許されたのは、F1パワーユニット関連では組み立て工程をはじめ、パーツのX線CT検査、ベンチテスト、走行中に指示を出すミッションルーム、ベンチテストの施設で、そのほかシミュレーターや風洞も見ることができたが、その多くは撮影禁止。さすが最先端の研究開発施設だけあって、機密保持も厳重だ。
その中でも、やはり一番の見どころはF1のパワーユニット。組み立て工程では、本体1基あたり2名が担当し、何と7日間掛けて組み上げ、各ボルトの締め付けもどれだけのトルクをかけていたのかが分かるように管理されている。さらにF1ならではの回生とターボチャージャーの組み込まれたMGU-Hユニットでは、1名が専任で担当し5日かけて組み上げるという。またパーツのX線CT検査ではわずかな亀裂や不具合を発見して対策。ベンチテストにおいてはパワーユニット単体だけではなく、トランスミッションやラジエターといった補機類が備わっているのはもちろん、実際のレースを想定した速度に合わせ、パワーユニットへと送る風量も制御しているのだ。
一方、個人的にテンションが上がったのがミッションルームである。ここはリアルタイムで走行データを監視し、各走行のセッション中に現場と戦略の相談をする部屋で、マシンに搭載されたセンサーからパワーユニットの状態を示す膨大なデータが送られ、それらを解析しつつ現場に指示を出す役割を担っている。例えばパワートレインに何らかのトラブルが発生した場合、即時に最適な対策案をまとめ、現場の担当者に伝えなければならないという。
このように最先端の技術と多くの人員が投入されているHRCサクラ。ホンダのF1撤退は実に残念だとあらためて感じた。