「アウトロー」とは、ポルシェをカスタムする行為自体も指すという
Urban Outlaw ――マグナス・ウォーカー(Magnus Walker)氏の存在を私が知ったのは、今から数年前のこと。当時よく通っていた自動車情報サイトに、「アメリカのポルシェ911コレクター」と題して、動画を含む記事で紹介されていた。一般的なイメージのポルシェ愛好家とは全く異なる風貌、その膨大な911コレクション、そして独自のセンスで仕上げられたそれぞれの911。何もかもが新鮮に見え、いつしか彼の世界に吸い込まれていた。
【画像50枚】みごとに再現された911STRと、その制作工程を見る!
911STRは、そんな頃にウォーカー氏によってプロデュースされた1台だ。1972年型の911Tをベースに、名車911「ST」と911「R」のテイストをそれぞれ組み合わせ、930ターボ譲りのワイドフェンダー、ゴールドのカンパニョーロ・アロイ、真っ赤に塗られた前後バンパー、淡いブルーメタリックのストライプを纏う。その不思議な存在感に、とても衝撃を受けたことを覚えている。それからと言うもの、1/24スケールでこの911STRを再現したいと考え続けてきた。
911Rほか、3つのキットの組み合わせで制作!
制作にはいくつかのキットを使用したが、ベースは全てフジミで統一。エンスージャストモデルシリーズの911Rをベースに、エンジンの一部パーツや内装内張、バケットシートなどを『サーキットの狼』シリーズの「’73カレラRS2.7」より流用。リアルスポーツカーシリーズの「’85 911ターボ」からはボディを流用し、3つのキットの組み合わせでの制作となった。特徴的な911Rフェイスは積層プラ板より削り出し、1971~1973年タイプのフロントバンパーは、911Rのものをベースにプラ板を追加して自作した。
ホイール、ヘッドライトおよびライトハウジングは、ドイツのスケールプロダクション製を使用している。また、エンスージャストモデルシリーズの難点のひとつである「各部の強度不足」についても、真鍮線やアルミ棒などでしっかりと補強を入れることで対処しておいた。
私自身、エンスージャストモデルの911は、10年程前に作った「’73カレラRS」以来久々の制作となったが、やはり「何度作っても楽しい」というのが正直な感想だった。バリが多く、部分的に金型のヨレや潰れなども出てしまっており、現在の基準から見ると決して作り易いキットとは言えない。しかし、作り手が手を掛ければ掛けるほど化けていく「フジミ・マジック」は今も健在で、これによってついつい病み付きにさせられてしまうのである。
現在、当時のエンスージャストモデルシリーズは、リアルスポーツカーシリーズへと移行している。今回ベースとして使用した911Rのほか、1969年型911S、1974年型RS3.0など、魅力的なバリエーションの多くが再販されて、現在(2022年11月)も入手可能だ。ただし、タルガトップのみは再販されていない。
最後に、資料提供・アドバイスを頂いた故Ryu Asada氏に、あらためて感謝とお礼を述べさせて頂きたい。