モデルカーズ

でっかくなっても小馬は小馬!初代マスタング最終の1973年型をMPC/AMT製プラモデルから再現【モデルカーズ】

社会状況から大幅パワーダウンを余儀なくされて

コンパクトカーであるフォード・ファルコンのシャシーに、スタイリッシュな2ドアのボディを載せ、オプションパーツの豊富さを売りにヒットした元祖スペシャリティカー、フォード・マスタング。1964年のシーズン途中にデビューしたマスタングだが、そのボディは年々大きくなっていった。

【画像25枚】それでもカッコイイ1973年型マスタングと、そのプラモの変遷(の一部)を見る!

デビュー以来108インチ(2743mm)で不変だったホイールベースは1971年型で109インチ(2769mm)まで拡大され、さらに1973年型では、前後の衝撃吸収バンパー装着により全長も拡大(194インチ=4928mm)。この1971-1973年型が初代マスタングとしては最後のモデルとなるが、そのボディバリエーションはノッチバックのハードトップ、ファストバックのスポーツルーフ、そしてコンバーチブルの3種類があり、グレードはベーシックモデルの他、ハードトップには豪華なグランデが、スポーツルーフにはイメージリーダー的スポーツモデルのマッハ1(Mach1)が用意された。

前年型との違いで最も目につくのは、やはりフロントバンパーの変更とそれに伴うデザイン改修である。1971-1972年型のフロントは、マッハ1のみボディ同色のウレタンバンパーを装着、その他のモデルではクロームのバンパーであったが、1973年型では全モデルがカラード・ウレタンバンパーに変更。これに伴い、バンパー下に位置していたターンシグナルはグリル内に移動、縦長に配置されている。なお、リアバンパーのオーバーライダーとラバーモールはオプション設定で、モールなし・オーバーライダーのみ追加という仕様も選択可能だった。

搭載エンジンは、1971年型では370hpの429コブラジェットなどを含め7種類が設定されていたが、そうしたハイパワーエンジンは淘汰されていき、1973年型では4種類のみとなっていた。すなわち、95hpの250-cid(4.1L)直6、135hpの302-cid(5L)V8、それに351-cid(5.8L)V8が164hp(2バレル・キャブ)と266hp(4バレル・キャブ)の2仕様である。いずれの出力もかなり弱まって見える数値だが、これは1972年からエンジンの出力がNET表示となっているため。それまでのGROSS表示より20~30%下回った数字となるので注意。

ややこしい変遷を示すMPC/AMT製マスタング
さて、マスタングの歴代モデル中、1971-1973年型、所謂ビッグマスタングの1/25プラモデルは現在、AMTから1971年型(キットNo.38160)と1973年型(38156)が販売されている(注:「現在」は作例が「モデルカーズ」誌面に掲載された2006年を指す)が、1971年型のベースは旧MPC、1973年型はAMTの金型によるもので、もともと両者はメーカーの異なるキットである。

この1973年型は、すでに4回ほど再販されたため金型の一部が改修されていて、前後のサイドマーカーがなかったり、インテリアのモールドが不足していたりと、ノーマルには程遠い。したがって、カスタム仕様として1978年に再販された「MACHO MUSTANG」(No.2901)か、1981年再販「STREET MACHINE」(PK4167)と同じもののようだ。パッケージにはなんとMPCのノーマルキットの完成写真が使われていて、「プロトタイプをレタッチしたもの」と書かれている(注:この1973年型は数年前よりロードレース仕様としてパッケージングされているので、混乱は避けられる)。

という訳で、ノーマルな1973年型を再現するには、現行の1971年型のキットを使う方が近道であり、作例もそうして制作したものである。ありがたいことに旧MPC(0805)がベースなので、元の1973年型のグリルパーツも残っている。ちなみに、そのまま1971年型(または1972年型)とするには、フロントバンパーの幅を狭くするとよい(注:1971年型のキットは数年前に『007』仕様をリリースの際、作り直されたフロントエンドや、トリムリング+ハブキャップのホイールなどが新規パーツとして追加されている)。

キットのボディはパーティングラインを削り落として、フロントバンパーからエプロンパネルを切り離し接着。リアパネルもボディに接着して、前後の筋彫りを追加した。リアバンパーは、取り付け部にプラ板を貼り位置を後ろにずらすことで、2.5マイルバンパーを再現。オーバーライダーもプラ材からの削り出しで取り付けている。エンジンフードのラムエア・スクープは開口し、細いルーバーのモールドは瞬着パテで埋めた。本来このルーバーは、1973年型だけでなく1971-1972年型にも存在しないはずのものだ。

ボディカラーはMedium Yellow Gold(カラーコード6C)。今回はカラーチップがなかったので、実車カタログやレストア車の写真から判断した。今回の作例は、ノーマルのスポーツルーフにオプションのエンジンフードをチョイス、エンジンはスタンダードの302-cidという設定。サイドシルとエンジンフードにセミグロスブラックをマスク塗装したが、あえてマッハ1にはしていない。本来はボディサイドとリアに「Mustang」のエンブレムが存在するが、オリジナルのキットではモールドされていたものの、今回の再販ではなくなっており、そのままとした。しかし、いずれ自作デカールで再現してみたい。

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=羽田 洋 modelcars vol.126より再構成のうえ転載

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