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「ゴムを極める」ブリヂストンが尾びれを損傷したイルカを救う! 「沖縄美ら島財団」と共創

ブリヂストンが再生可能資源の拡充に向けて事業化を目指す素材などによって人工尾びれを開発、仲間たちとの共生を支援

ブリヂストンと「一般財団法人 沖縄美ら島財団 ※1」は、美ら島財団が管理・運営する「沖縄美ら海水族館 ※2」で飼育されている、尾びれを損傷したミナミバンドウイルカ(愛称『サミ』)の人工尾びれを開発した。これにより、「サミ」が生き物としての尊厳を保ち、仲間たちと共生していくことを技術の力で支える。

取り組みの背景と経緯
「サミ」は1999年に誕生した雌のミナミバンドウイルカで、これまで21年もの間イルカショーに出演してきた美ら海水族館の人気者。しかし2020年9月、尾びれの損傷に起因する感染症によって尾びれが壊死、治療過程で尾びれの一部切除を余儀なくされてしまう。切除後も治療と並行してリハビリテーションを実施したが、遊泳への支障が確認されたことから、将来にわたる健康面の問題や、ほかのイルカと一緒に泳ぐことができないことによる社会性の喪失が懸念されていた。2004年に美ら海水族館のイルカ「フジ」のために、人工尾びれを開発した実績のあるブリヂストンと美ら島財団は再び協力し、「サミ」がイルカ本来の泳ぎを取り戻すことを目指して、2021年11月に「サミ人工尾びれ開発プロジェクト」を発足した。

人工尾びれの開発について
今回開発した人工尾びれは、「サミ」の尾びれを保護する「ソケット・クッション材」、遊泳時に推進力を得るための「ゴム製尾びれ」、そして「サミ」の動きをゴム製尾びれに伝える「板バネ」から構成されている。一部切除後の「サミ」の尾びれは、平均的なミナミバンドウイルカの約20%程度の大きさになっていることに加え、尾椎骨折や腱の一部断裂により複雑な形状をしている。人工尾びれには、損傷部を保護するための構造設計、「サミ」の負担を軽減するための軽量化、本来の尾びれのような柔軟性と剛性という二律背反の性能を両立することが求められた。

【写真4枚】人工尾びれ開発で、ブリヂストンがこれまで培ってきた「ゴムを極める」! 

ブリヂストンの開発チームは、美ら島財団より「サミ」のCTスキャンや「バイオロギング ※3」から取得したデータの提供を受けて人工尾びれの構造設計を行うとともに、柔軟性と剛性を両立するゴム配合の検討を重ねた。両者による1年以上に及ぶ開発・施策・訓練の結果、2022年12月に実施した装着テストにおいて、「サミ」の遊泳能力 ※4が大幅に向上することが確認された。

なお今回開発した人工尾びれには、ブリヂストンが再生可能資源の拡充に向けて事業化を目指す「グアユール」 ※5由来の天然ゴムや「マテリアルインフォマティクス ※6」を活用して開発を進めている、しなやかさと強靭さを両立する新素材「ダブルネットワークゴム」 ※7、再生カーボンブラックなどのリサイクル材料など、タイヤへの適用拡大が期待される最新の技術や知見が採用されている。

現在の「サミ」は、水族館での継続的なリハビリの成果により、尾びれを一部切除した当時に比べ遊泳能力が大きく向上しただけでなく、イルカの社会性を示す仲間とのふれあい行動(ラビング)も観察されるようになった。美ら島財団では引き続き、人工尾びれを用いたリハビリ・遊泳訓練を継続し、「サミ」の生活の質のさらなる向上に取り組んでいく。

◆株式会社ブリヂストン「サミ人工尾びれ開発プロジェクト」開発統括 梅山裕史のコメント
ブリヂストンがこれまで培ってきた「ゴムを極める」「モノづくりを極める」というコアコンピタンス(強み)を活かし、「サミ」が生き物としての尊厳を保ちながら、仲間たちと共生していくための取り組みを支えることができたことを誇りに感じています。美ら島財団と共に新しい価値を生み出す今回のプロジェクトは、ブリヂストンが企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」※8で掲げる「Empowerment すべての人が自分らしい毎日を歩める社会づくりにコミットする」を体現し、多様な生き物が共生する社会の実現に貢献するものです。

◆一般財団法人 沖縄美ら島財団附属動物病院 院長 植田 啓一のコメント
美ら島財団は、管理・運営を行う美ら海水族館において約740種10,000点 の海洋生物を飼育展示し、多くの生き物の治療やリハビリ、健康管理の知見と実績を有しています。ブリヂストンとの共創活動で得られた知見をもとに、「サミ」の治療・リハビリ・健康管理を継続しQuality of Lifeの向上に取り組むとともに、今後の海洋生物の保全・研究に繋げていきます。

※1 一般財団法人沖縄美ら島財団ウェブサイト: https://churashima.okinawa/
※2 沖縄美ら海水族館ウェブサイト: https://churaumi.okinawa/
※3 生き物に装着した電子端末から行動データを取得する方法
※4 イルカが遊泳する速度、尾びれの振動数、イルカの体長を基に算出した数値
※5 乾燥地帯で育つ「ゴムをつくる植物」グアユール:
https://www.bridgestone.co.jp/technology_innovation/natural_rubber/guayule/
※6 マテリアルインフォマティクス:機械学習など情報処理技術を活用して材料開発を高効率化する取り組み
※7 ダブルネットワークゴム:
https://www.bridgestone.co.jp/technology_innovation/double_network_rubber/
※8 「Bridgestone E8 Commitment(ブリヂストン イーエイト コミットメント)」

LE VOLANT web編集部

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