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小さなマッスルカーが緊急発進!ジョーハン製プラモ「SC/ランブラー」を華麗にフィニッシュ【モデルカーズ】

速いハコはどの国のクルマでもカッコイイ!

1960年代後半、アメリカで盛り上がったマッスルカーブーム。ビッグスリーとの孤独な闘いを続けるAMCもこれを無視する訳にはいかず、シフター・メーカーのハーストとのジョイントで1969年型において投入したのが、SC/ランブラー(スクランブラー)である。これはNHRAのF/ストック・クラスに合わせたホモロゲーション・モデルでもあった。

【画像24枚】ちょっとマイナーなマッスルカー、SC/ランブラーのディテールを見る!

AMC(アメリカン・モータース・コーポレーション)は、1954年にナッシュとハドソンが合併してできたメーカーであるが、ナッシュのコンパクトカーとしてそれ以前から存在していたのが、ナッシュ・ランブラーだ。1958年型からは、AMCの車種は一部を除きブランド名としてランブラーを名乗ることとなり、それまでのナッシュ・ランブラーはランブラー・アメリカンと名を変えた。このアメリカンは1961-1963年型の二代目を挟み、1964年型で2度目のフルモデルチェンジを行って三代目へと移行。1969年型からはアメリカンの名が消え単にランブラーとなったが、SC/ランブラーはこれをベースとしたモデルとなる。

元となるアメリカン(ランブラー)はこの三代目となってもコンパクトカーであり、ホイールベースは106インチ(2692mm)。基本スタイルは1964年型から変わっておらず、1960年代終盤にあっては、そのスクエアなフォルムは流行遅れ感の強いものであったが、これをべ―スに走りに特化した姿には、独特の迫力があった。2ドア・ハードトップのボディはホワイトに塗られ、レッドとブルーをあしらったカラースキームは2種類が存在。何と言っても目を引くポイントは、エンジンフード上に設けられた大きなスクープである。

エンジンは、スポーティ・モデルとして前年に登場していたハードトップ・クーペのAMXから、390-cid(6.4L)のV8(最高出力315hp)を流用して搭載。ハースト製のリンケージとシフターを持つ4速マニュアル・ミッションとの組み合わせで、0-400m加速14秒3というハイパフォーマンスを誇った。3.54:1のLSDとハード・サスペンションも与えられ、クラッチや冷却システムも強化されている。フロントブレーキはディスクとなり、マグホイールとグッドイヤーのポリグラス・タイヤで足元を固めていた。

このSC/ランブラーには上記の内容が標準となるほか、以下のような装備を持つ――専用マフラーを備えたデュアル・エキゾースト、フードロックピン、左右に装着される砲弾型のレーシングミラー、ブラックアウトされた前後グリル、ステアリングコラム上のタコメーター、ウッドグレインのステアリングホイール、バケットシートを具えたオールビニール製インテリア、etc。これらの装備以外に、オプションは設定されなかった。なお、ランブラーはこの年を最後に消滅しており、SC/ランブラーも1969年型のみの存在である。総生産台数は1512台と言われる。

トランクも開閉式のキットだが……?
この1969年型SC/ランブラーは、ジョーハンからプラモデル化されている。ジョーハンでは1964年型のランブラー・アメリカンをキット化しており、これを改修して1965、1966年型と発展させたが、1967、1968年型はなく、最後にSC/ランブラーへと改められたのである。このキット(GC-2500)は何回か再販されていて、金型の傷みが散見される。プロストリート仕様(S-1004)もあるが、デカールが違うだけで内容は全く同じものだ。

ボディ形状はなかなか良いが、寸法が若干大きいようだ。スケールは1/25ということになっているが、ホイールベースで計算してみると約1/24であると判明した。このキットはトランクが開閉式だが、ガタガタなのでチリを合わせて固定した方が良いだろう。ボンネットも隙間が目立つのでチリ合わせが必要だ。ホイールアーチのところのボディの肉厚がかなりあり、そのままでは見苦しいので、内側から削り込んでいる。

ボディサイドのマーカーやエンブレムはこのキットでは一切モールドされていない。作例では、前後のマーカーはプラ材で再現したが、エンブレムは省略している。別売りデカールでこのエンブレムがあるので、それを使うのも良いだろう。エアースクープは若干前上がりのようなので、エンジンフードとの接着面にプラ板を接着して調整してある。グリルは格子部分の形状が1966年型アメリカンのままだが、自作するにも厄介なところなので、そのままにしておいた方が無難だ。作例ではグリル左側の「RAMBLER」の文字の削除と、ヘッドライト周りの加工を行った。レインドロップモールは削れている部分があったので、プラ棒で修正している。

インテリアは少々残念な状態だ。まずダッシュボードだが、キットのパーツは(ベースである)1966年型までのランブラー・アメリカン440のまま。これは正確には5連丸メーターでないといけない。作例ではジャンクパーツを用いて修正した。また、シートのヘッドレストもキットのように角ばった形ではなく、断面がおむすび型をしているのが正解だ。作例ではこれをプラ材で自作している。ここはトリコロールカラーで目立つ部分なので、ぜひ直したいところ。

エンジンはフロントアクスルのシャフトが貫通する形式なので、大きな穴が開いている。ここは5mm径のプラ棒を差し込み、塞いでから成形すると良い。シャシーは特に問題となるところはないが、前述のエンジン修正を行った場合は、短くしたシャフトをアクスルロケーターに接着してホイールを取り付ければ良いだろう。

作例制作=周東光広/フォト=羽田 洋 modelcars vol.213より再構成のうえ転載

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