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豊かな日常を象徴するクルマ、60’sアメリカンワゴン!AMT製プラモ「1964年型シェベル」を堪能する【モデルカーズ】

丁度よいサイズを復活させた傑作車

ステーションワゴンというボディ形態は、ミニバンが一般化したことで廃れてしまった印象もあるが、かつては、豊かな生活をイメージさせる側面があり、1990年代の日本でもワゴンブームが巻き起こったものだった。そうしたイメージの起源を辿ると、もしかしたら1950-1960年代アメリカにおけるワゴンに行き着くのかもしれない。

【画像25枚】扱いやすい大きさのワゴン、その全体像と細部を見る!

1960年代のアメリカ製テレビドラマに登場する家庭では、ガレージにはお父さんのクルマだけでなくもう1台ステーションワゴンが収まり、それを使用するのはもっぱらお母さんで、そうした家庭像に当時の日本人はショックを受けたのだという。それだけ当時のアメリカが豊かであったということだが、逆にアメリカ本国においては、そうした使われ方によって、ワゴン=お母さんの買い物カー=あまり格好良くないもの、という図式が出来上がっていたのであった。ここで採り上げるシェベルのワゴンなども、そのボディサイズの小ささ(フルサイズではなく、それより少し小さいインターミディエイトに属する)から、扱いやすいお買い物カーとしても重宝されたのではないだろうか。

シボレーがシェベルを投入したのは1964年型でのことで、1960年型でのコルベア、1962年型でのシェビーⅡに続く新たな車種(ボディ)であった。前二者がコンパクトカーであったのに対し、すでに述べたようにシェベルはインターミディエイトであり、これはフォード・フェアレーン(1962年型でフルサイズからインターミディへと転じていた)の対抗車種でもあった。また、大きくなりすぎたフルサイズに対し、名車トライシェビー(1955〜1957年型シボレー)の丁度良いサイズ感を復活させる意図があったとも言われる。

このコンセプトは正解だったようで、シェベルはコルベアやシェビーⅡを上回るヒット車種となり、結果としてシボレー全体では同年の販売ランキング・トップとなったほどであった。ボディスタイルはフルサイズ(インパラなど)のそれを圧縮した印象のスクエアなものだが、ウェストラインがボディ後半で微妙にポップアップするあたりに、1960年代後半のコークボトルラインの前兆が見て取れる。

ラインナップには基本モデルのシェベル300と、上級モデルのシェベル・マリブに大別され、後者には2ドアのスポーツクーペ(ハードトップ)とコンバーチブルが設定されていたが、ステーションワゴンは300とマリブの両方に用意されていた。いずれにも4ドアと2ドアの2つのボディを用意、合計4種のうちマリブの4ドア・ワゴンのみサードシート装備の9人乗りも選べた(他は6人乗り)。ホイールベースは115インチ(2921mm)でセダン等と共通だが、全長ではワゴンの方が4.9インチ(124.5mm)ほど長い。

エンジンは直6とV8の2種類があり、前者は194-cid(3.2L、120hp)、後者は283-cid(4.6L、195hp)がそれぞれ標準。オプションのエンジンは直6が230cid(3.8L、155hp)、V8は283の仕様違い(4バレル・キャブ装備、220hp)となり、合計4種類が当初は設定されていたが、のちに327-cid(5.4L、250あるいは300hp)も加わっている。

グリル/バンパーの分離など、細部に注力して仕上げる!
1964年型シェベルのステーションワゴンは、AMTから1/25スケールでプラモデル化されている(No.8744)。所謂アニュアルキットであり、翌年には1965年型へと改修された。そのため、1965年型としての再販は何度もされているのだが、1964年型のキットとしては1年限りのものとなる。ここでお見せしているのは、この1964年型シェベル・マリブ・ステーションワゴンのキットを制作したものだ。以下、作者・畔蒜氏による解説をお読みいただこう。

「AMTのキットは実車のデビューに合わせてのリリースと思われる。エンジンが2種入りで、フードは別パーツ。ストックのエンジンは直6でオプションの方がV8。カスタムのフロントグリルやホイールが付く。AMTからは他に、エンジンレスのクラフツマン・シリーズでマリブSSの2ドアハードトップ・モデル(No.4724)があった。

ボディには大きな問題はないが、作例では細部の修正を行った。まず左右のレインドロップモールがAピラーの部分で切れてしまっているので、フロントウィンドウ枠までプラ材で延長。さらに、一体成型のフロントグリルとバンパーは実車の印象とやや異なる。今回はこの修正に集中してみた。テールランプのハウジング(メッキパーツ)はボディとのフィッティングがイマイチ。メッキを剥離してボディに接着し、隙間を埋めた。

メッキ部分は塗装後にベアメタルで再現し、クリアーレッドのテールランプはキットのパーツをそのまま使用。ランプの下はバックランプなので、薄い白を筆で色さししてある。インテリアはリアゲートの内張がないので、プラ板で追加。運転席のベンチシートはインテリアと一体で内張の塗装がし難いので、シートを一度切り離している。ダッシュボードは上向き過ぎで、ステアリングも天井を向いてしまうので、ダッシュボードの両端を削って角度を調整した。ステアリングにはコラムシフトのレバーを追加。

エンジンはストックの直6をセレクトした。フロントホイールのシャフト逃げの切り欠きをポリパテで埋めて、正しいエンジンブロックとオイルパンを再現。シャシーは前後サスペンション一体成型で、ホイールベースは問題ない。シャフト穴はストック位置として、フロントの車高を若干下げて調整。トレッドはやや狭くして実車のイメージに近い位置にした。前後のシャフトはシャシーにしっかり固定して、フロントはエンジンにかかる部分をカットしている。

ボディカラーはALMOND FAWN METARILLIC(カラーコード920)を再現。クレオスのC8シルバーをベースに、アクセルSのレッドとメッジャムイエローで調合した。インテリアにもボディカラーのツヤを落としてそのまま使用、フロア部分をダークイエローとした。

外装のメッキモールはベアメタルとGSRのクローム・マスターを貼っている。「CHEVROLET」や「MALIBU」のロゴは今回、タクミアートメタルコートのスーパーミラーⅡを筆塗りしてみた。メッキ調塗料の筆塗りは、上澄みは流れやすいので注意し、一度沈澱させて溜まった塗料を、少しずつモールドに乗せるように塗っていくと良い」

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=羽田 洋 modelcars vol.209より再構成のうえ転載

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