世界的な日本の旧車ブームにあって、その王様として君臨するのが「BNR32」こと「R32系 日産スカイラインGT-R」だ。その生い立ちについてここで改めて説明する必要はないが、かいつまんで言えば、レースのために開発され、しっかりと結果を出し、さらにカッコいいとくれば、最早ケチの付け所もない名車であることを疑う余地もない。
すでに価格も新車価格(約440万円~)などとっくに追い越し、オーナー氏も盗難対策を万全にして、全開走行や過激な改造などは自粛しなければ……といった”お宝車”にカウントされつつある。しかし、ハードコアなGT-Rファンほど、一生乗るつもりなので、自分の好きな仕様に改造していくことに躊躇(ためら)いがないし、思いっきり走らせてナンボなので床の間に飾っておくようなことはしたくない、という向きも少なくない。
そんなハードコアなGT-Rファンに高い支持を得ているのが、福岡のGT-Rプロショップ『ガレージ・アクティブ』である。同ショップの看板商品と言えば、GT-Rのワイルドかつ美しいボディラインを損なうことなく、片側で40mmものワイド化を行ったボディキットだ。
これによって何と19×12Jのホイールと295/30-19という極太サイズのタイヤを、すっぽりとフェンダー内に収めてしまう。また、しっかりとエンジンチューンを施しつつ、ルッキングパフォーマンスとハンドリング&トラクション性能を両立したエアサスを組むなど、カッコよさと速さの二刀流を実現しているのだから驚きだ。
【写真8枚】全身カーボン柄の大迫力BNR32を見よ!
そんな『ガレージ・アクティブ』のBNR32は世界のクルマ好き垂涎の存在となっており、ついには2022年、アメリカ最大の自動車部品見本市、『SEMA(セマ)ショー』で展示されて大反響を呼んだ。さすがのアメリカ展示とあって、まさに満艦飾状態のデモカーが製作されたが、そんな話題の1台を1/43のモデルカーとしてリリース予定なのが、お馴染みメイクアップ。先にお断りしておくとお値段は1台\49,500(税込)と安くはない。しかし、手練のモデラーならば、この価格が高いどころか、安いと感じる人も多いはずだ。
さて、肝心のモデルであるが、よーく目を凝らしていただきたい。そう、ボディ全面カーボン柄なのである。実車はアウターパネルが軽量化のためにカーボン化されているのだが、これを全長10センチに満たないモデルカーの世界でやると大変だ。
実車ならカーボンパーツに付け替えればOK(もちろんそれも大変)だが、モデルカーではそうは行かない。ではどうするかといえば、驚くことなかれ、全面に1/43に相応しい極細のカーボンパターンを印刷したデカール(水貼り式の極薄シール)を貼り込むのだ。
それは簡単に言えば、地球儀に隙間なくシールを貼ること以上に難しい。球体を平面に置き換えると非常に複雑な形状になるのは、ネットで『グート図法』と検索してもらえれば一目瞭然。ということで、地球よりも遥かに複雑なBNR32のワイドボディを覆うためには、当然1枚モノのデカールは不可能なので、部位部位に分割して貼り込んでいくわけだが、その数は実に60枚!
1枚でもシワ無く貼るのは大変なのに、それが60枚だと聞いたら気が遠くなる……。たぶん手練のモデラーでも1日では終わらず、下手したら挫折しそうだが、メイクアップの職人さんたちは、これを1台当たり4~5時間で仕上げてしまうそうだ。
さらにさらに、デカールを貼るだけではなく、今回はミッドナイトパープル、すなわち光の当たる角度によって色味が変化する偏光塗料をコートして、その上にクリアコートを施すという念の入れよう。塗ったあとは職人さんが手作業で1台1台極細ヤスリをあて、コンパウンドで鏡面状態にまで持っていくという工程が採られるのだ。そう、全部手作業で、何ひとつ機械がやってくれない領域(現時点では)の仕事の積み重ねなのである。もうこれはモデルカーというより工芸品に近い。
ということで、とっておきのモデルカーを1点豪華主義で書斎やガレージに飾りたいという向きにはうってつけの1台となるだろう。もちろん直射日光と高温多湿な場所だけは避けておく必要があるが。
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