名車の名車たる所以とは
1967年から1970年にかけて生産されたトヨタ2000GTは、現在にあってもクルマ好きの人間にとっては日本を代表するクルマのひとつに挙げられる名車である。そんなクルマであることから、実車登場後いくつものメーカーが色々なスケールでプラモデル化してきた。それらのいくつかが――ごく一部であるが――(メーカーが変わっても)、現行品として入手可能なのも、まさに名車たる所以であろう。
【画像31点】極美フィニッシュの2000GTとその制作過程を見る!
ハセガワの2000GTは1993年6月に発売された、1/24スケール・キット化としては最後発のものである(注:この作例は2017年に制作されたもの。その後、2021年にアオシマから後期型のキットが発売されている)。実車をきちんと取材して製品化されていると感じられる良心的な内容で、ボディ形状も素晴らしい。いたずらにパーツ数を増やしたり、マルチマテリアル化したりすることなく、しかし一方では、高価なメタルインレットを用意して難しい細部の塗装作業を省略するという、組み立て易さにも重心を置いた、模型好きだけでなく実車好きをもターゲットにした良キットである。
キットの特徴として、ボディ形状ゆえノーズの部分が上下2分割されていることが挙げられるが、今回のように事前の加工を施せば、先にノーズを接着して、通常のキットのように最後にボディとシャシーを合わせることができる。制作にあたっての注意点としては、リアランプのメッキパーツ(ベゼル)とボディのはめ合わせがきつく、塗装後のボディには最後で収まらなくなる恐れがあるので、あらかじめベゼルのパーツの方をかなり削り込んでおくと良い。
ゴールドのトヨタ2000GTとは何か?
また、室内の木目パネル(ウォールナット)を再現するためのデカールが用意されているが、段差のある箇所に転写するのは困難なので、あらかじめいくつかに分割して行うことをお勧めする。そして、キットには室内とエンジンルームを区切る壁がなく、じっくり覗き込むとフロントタイヤ越しに室内がちらりと見えてしまうので、0.5mmプラ板で壁を追加した。
ボディ色のゴールドはカタログモデルには設定はなく、当時、東京モーターショー出展用として特別に塗装されたものである(前期型2台と後期型1台の計3台)。そのうち1台はレストアされヤマハコミュニケーションプラザに展示されており、その車輌の画像等を参考に今回の作例を制作した。黄土色にシルバーを混ぜる感覚で調色し、エアブラシで塗装している。