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これぞアメリカ流の欧州風スポーティカー!MPC製プラモ「1969年型ファイアーバード・スプリント」【モデルカーズ】

直6エンジン搭載の軽快なモデル

ポンティアック・ファイアーバードの初代モデルが登場したのは1967年2月のことだった。広く知られている通り、ファイアーバードはシボレー・カマロの兄弟車なのだが、カマロより半年ほど遅れてのデビューとなっている。

【画像16枚】シャープに仕上がった1969年型ファイアーバードを見る!

今はもう消滅してしまったポンティアックであるが、当時はGMの中で最もスポーティなブランドであっただけに、ファイアーバードはコルベット的なピュア・スポーツカーとして構想されたという。企画の内容は紆余曲折を経て、ファイアーバードはフォード・マスタングの対抗車種、所謂ポニーカーとして送り出されることとなった。ポニーカーとはマスタングのような成り立ちの車種――コンパクトなボディサイズ、シャシーもしばしばコンパクトカーのものを利用しつつも、スポーティなルックスを持つ2+2クーペ――を指す。

ファイアーバードは、兄弟車であるカマロとはボディパネルの一部までも共有していたが、ポンティアックのアイデンティティ的なモチーフ(バンパーと一体の2分割グリルやスリット状テールレンズなど)を盛り込んで、らしさの演出に成功していた。

エンジンは直6とV8の2種類があり、スタンダード・モデルは直6を搭載。これはシボレーのOHVをベースにヘッド周りを変更してOHCとしたもので、経済性ではなく性能を重視した6気筒という、アメリカでは珍しい方向性のエンジンだった。レイアウトはむろんFRで、サスペンションは前ウィッシュボーン/後ろ半楕円リーフ。

2年目の1968年型での変更は小さいものだったが、1969年型では大幅なスキンチェンジを実施。特に大きく変わったのはフロント周りで、ライトを囲む部分は樹脂製(ボディカラー)となり、グリルは中央にまとまった。このデザインは、翌年のGTOなどでも似たものが採用されている。

この年のラインナップは、まずベースのファイアーバードがあり、このモデルは前述の通り直6エンジンを積むが、排気量は前年までの230-cidから250-cidに拡大されており、最高出力175hp。よりスポーティなモデルがスプリントで、こちらのエンジンは同じ250ながら出力は215hpまで高められている。軽快な直6バージョンの高性能仕様ということで、当時のカタログなどには、ヨーロッパ流のスポーティカーをアメリカナイズしたモデルである、といったような意味のセールストークが掲載されていた。

V8を載せたモデルは3種が存在する。ファイアーバード350はその名の通り350-cid(5.7L、265hp)を搭載。高出力(Hi output)をネーミングの由来とするファイアーバードH.O.には、この350に4バレル・キャブを装着した325hpのユニット、あるいは400-cid(6.6L、330hp)が組み合わされる。そしてファイアーバード400というモデルがあり、こちらには同じ400-cidながら335hp仕様の400 H.O.、そして専用カムシャフトなどを奢られて345hpを発揮する400ラムエアⅣの、2種類のエンジンが用意されていた。

1969年型における最大のポイントは、ハンドリング・パッケージである“トランザム”が1969年3月に登場したことだ。リアウィングやホワイト/ブルーストライプのボディといった特徴的な外観を具えるだけでなく、ヘビーデューティ・サスペンションおよびギアボックスなどを装備する本格派であり、エンジンはファイアーバード400と共通の2種類、すなわち400H.O.あるいは400ラムエアⅣを搭載していた。以後、トランザムはファイアーバードのイメージリーダーとして君臨していくこととなる。

スプリント化に合わせて細部をモディファイ
さて、1969年型ファイアーバードのプラモデル化には、MPCによる1/25スケール・キットがあり、この金型はAMTに引き継がれ、21世紀に入っても再販されている。ここでお見せしている作例は、オリジナルのMPC製キット、しかも1969年当時のものを制作した作品である。

当時のキットには、実車のデビューとほぼ同時にリリースされたファイアーバードと、追って1969年に発売されたトランザム仕様という2種類があるのだが、作例は後者をベースに、ファイアーバード・スプリントとして仕上げられている。以下、作例の作者・畔蒜氏による解説をお読みいただこう。

「1969年型は1967年型のボディを更新してキット化されている。ただ、共通の部分はルーフ部分のみのため、1968年型の金型を流用できずに、ボディは新規に起こしているようだ。時間的余裕がなかったのか、細部のモールドは少々荒い印象を受ける。ボディ全体のアウトラインはまずまずだが、ヘッドランプ周辺のディテールは実車と少し異なる。ここはボディと一体でモールドされているので、当時の技術として難しかったのかもしれない。テールランプも太すぎる。どうやらこの2点で、1969年らしさはかなりスポイルされているようだ。

いつものBOX STOCKを少々離れて、今回はこのあたりに手を加えてみた。ボディとインテリア以外はほとんど1968年と共通パーツ。初代の最後だけあって、この後色々なバリエーションを変えて登場し、つい最近まで再版が繰り返された。

エンジンは2種類、400-cidのV8と250-cidの直6(なぜかインストには225と書かれている)。普通はトランザムにするところだが、1960年代のアメプラでは珍しい直6を載せてみよう。すなわち、ベーシックモデルのファイアーバードかファイアーバード・スプリントとなる。

フロントの足回りは洋白のシャフトを通し、しっかり固定してからエンジンルーム内の部分を取り除いた。直6のエキパイは別パーツの1本出しなので、リアサスにモールドされたエキゾースト関係の部分も削除。タイヤはAMTの細いものに換えて、車高は少々高めにセッティング。ホイールベースはキットのままで問題なかった。

今回もグリル、リアバンパー、ホイールは一度メッキを剥がしたあと、下地仕上げをして再度メッキ処理を施してある。なお、バンパーはライセンスプレート部分を取り除き、プレートはレベルの1968年型からデカールを調達した。プレートの飾りはエッチングパーツを使用している。ボディカラーは1969年の新色GOLDENROD YERROW(コード76)。アクセルSのクロームイエローに白と黒にごく微量の赤を混ぜて、純正カラーチップと合わせた。

メッキモールに関しては、GSRのクロームマスターと、ベアメタルを併用。モールドに延ばしてなじませる場合は、厚みのあるベアメタルが適しているようだ。フェンダーのルーバーだけはメッキ調塗料を使用した。ところで、リアフェンダーの『不死鳥』エンブレムはリアのサイドマーカー。フロントは『Firebird』エンブレム下の丸いモールドがそれだ」

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=羽田 洋 modelcars vol.180より再構成のうえ転載

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