ホビー

絶版キットで愛車再現、エンジンも自作!エルエス製名作プラモ「ケンメリGT-X」を4気筒化・後編【モデルカーズ】

持てる技術の集大成として制作!

C110型系、いわゆるケンメリの日産スカイラインについて、その4気筒モデルの実車に関しては前編の記事(下の「関連記事」参照)にてすでに述べた。そこで紹介した通り、ここでご覧いただいている作品は、エルエス製1/24スケール・プラモデルの2000GT-Xをベースに、4気筒の1600スポーティーGLを再現したものである。

【画像37枚】ボディ形状仕上げからエンジン自作、内装再現まで、制作過程を見る!

これもすでに前編で述べた件であるが、この作例は、作者・森山氏の愛車を徹底再現したもので、自動車模型専門誌「モデルカーズ」261号(2018年)の巻頭特集のために制作された作品だ。ここでは以下、そのときに併せて掲載された作者自身による解説をお読みいただこう。

「私が参加させて頂く3回目のスカイライン特集、テーマは『スカイライン愛』。私の場合愛というよりも憧れの存在、でしょうか。以前の記事でも2ドア4気筒を所有していると述べましたが、憧れの具現化とも言える、ウチのクルマを今回は制作いたしました。長年の模型制作の現時点での到達点として、持てる技術を注ぎ込んでみました。

4気筒ばかり作っていますのでGTに興味がないと思われてしまいがちですが、そういう訳ではありません。元々、テレビCMのブルメタのハードトップGT-Xに心奪われ、また、小学生の時に買ったバンダイのキットで後期GTX-ESにも心引かれ、実車を買うならそのいずれか……と思ったものです。社会人になったら日産車は買えない状況となってしまい、ようやく買える環境となるも、出てくるクルマは全部GT-R仕様……。

そんな現状に嫌気がさして、買う気も(実車趣味への興味自体も)失せていたとき、ひょんなことからこの現在の愛車の話が持ち込まれました。幼少期に見かけたハードトップDX(ブルメタ)が印象深かったこと、車体の程度がとても良いことから大いに惹かれ、紆余曲折ありながら購入へと至りました。

2017年で12年目、前年にクラッチやキャブレターの不調が続いた以外はトラブルフリーで意外と維持費もかからず、旧車といえば手間暇金かかる、という印象を見事に覆しています。整備自体自分で行っているのもありますし、10年目の節目に自力で全塗装しましたからねぇ。『人生初の作業でメタリックは無謀だ』と周りから言われましたが、プラモで養った塗装テクが役に立ちました。

ということで私のケンメリ4気筒モデル、ハードトップ1600スポーティGL、注文色(カタログに記載はないが受注色として正式設定)のブロンズメタリック、いつかはやりたいと思っていた制作です。ベースに選んだのはエルエスの古典キット。実車現役当時に出た走行用モデルでゼンマイとモーターライズが存在、途中からラリー仕様やブラック仕様が加わり、最後は改造レーサーとなって1980年代初頭を最後に販売が途絶えたものです(その後同社からはセダンがキット化)。

当時のキットの中でも出色のボディ形状を最大限活かして
今回使用したのはその改造レーサー仕様。共通シャシーですが、全長が若干短い以外的確な1/24サイズ、内装も上げ底でないのが先進的(この後の同社国産車シリーズは軒並み上げ底)。反面、各部のディテールは凡庸ですが、ボディ形状は全ケンメリ・キットの中でも出色の出来。

これを4気筒化のうえ、各部フル開閉に挑戦。特にトランクはヒンジやボディの強度的に作業が難しいのですが、この際だからと挑戦してみました。さらにエンジン搭載、足周りフル再現(今までの作例はなかなか完璧に行かなかった)のためフジミ製ケンメリRのシャシーを流用。エンジン本体やエンジンルーム全体の自作、ドア開閉など、今までの作例の技術の集大成となりました。

工程上目新しい所は乏しいですが、昔のキットを今の技術で何処まで魅せられるのかが今回のテーマです。ボディは全塗装した際の実車塗料で塗ることも考え、実際試してもみたのですが、リスクが高く到底お勧めできる方法ではありません。模型用塗料での塗装となりましたが、そのため実車通りの色味ではなく、愛車のディテールを落としこめなかった箇所も多々ありますが、模型生活約40年の集大成として、今の自分の一番の作品になったかと思います。

今回も、デカールを作成して頂きましたSMP24様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。熱意と勢いで突っ走った今回の制作過程、皆様にとって何かしらのヒントが見つかれば幸いです」

作例制作=森山琢矢/フォト=服部佳洋 modelcars vol.261より再構成のうえ転載

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