2代目へとフルモデルチェンジしたX2が待望の日本上陸を果たした。同時にデビューしたBEV版は、少し遅れての導入になるため、まずはガソリンエンジン搭載モデルのパフォーマンスをご紹介しよう。
より強調されたクーペスタイル
初代のBMW X2の登場は2018年なので、6年経った今年に2代目がデビューするというのはごく一般的なサイクルと言える。いっぽうで、X2はX2単独で成り立っているわけではない。エンジンの写真をご覧いただければ一目瞭然であるように、アーキテクチュアやパワートレインを新型ミニと共有している。新型ミニと新型X2の発表時期がほぼほぼ同じになったのは、偶然ではなく必然だと推測できる。
初代X2は、日本という特定の地域では機械式駐車場に収まる全高がひとつの魅力にもなっていたが、新型の全高は1575mmになってしまい、(BMWとしては図らずとも)その魅力を失ってしまった。スタイリングは従来型よりもクーペルックが強調されている。BMWの偶数車名は基本的にクーペとされているから、2代目にしてようやくそのルールに準じたとも言えるだろう。
インテリアはもはやお馴染みにとなったカーブドディスプレイが存在感を放ち、BMW OS9と呼ばれる最新のOSを装備することで、音声認識やタッチディスプレイによる各種操作が可能となり、ダイヤル式コントローラーもついに姿を消した。ODOメータを表示するだけですったもんだしてしまったけれど、おそらくそれはOS9のせいではなく、そういうことにめっぽう疎い昭和のオッサンのせいである。
ボディは従来型と比べて180mm長く20mm幅広く40mm高くホイールベースは20mm伸びている。ちなみにこのホイールベースは、ミニ・カントリーマンと同値でもある。こうした拡大傾向は、見た目よりも室内のほうが実感できる。特に後席周りは従来型よりも明らかにスペースが増えていた。
日本仕様は現時点でX2 xDrive 20i Mスポーツ(628万円)、X2 M 35i xDrive(810万円)、iX2 xDrive 30 Mスポーツ(742万円)の3タイプのみで、試乗車はxDrive 20i Mスポーツである。
従来型も決して悪くはなかったけれど、走り出してすぐの第一印象はボディ剛性感が高いことだった。同時に乗り心地もずいぶんよくなっているように感じる。これがホイールベースが長くなったおかげなのか、電子制御式ダンパーを含むサスペンションのセッティングの妙なのか、ボディやシャシーの剛性向上によるものなのか、あるいはそれらすべての相乗効果なのかまでは分からないけれど、各性能がすべてがよい方向になっていて、失ったものは何もないということだけは確かである。
操縦性はドライバーのステアリング操作に対する反応が早く、この部分に関してはエンジンを横置きにする前輪駆動ベースの車両とは思えないレスポンスのよさが際立つ。個人的に印象的だったのはリヤサスペンションの剛性感の高さだ。特に横方向からの入力に対してもまったく動じず、タイヤの接地面変化がほとんどかじられずに路面をしっかり掴んで離さない様は、明らかに従来型とは異なる点である。前後サスペンションは基本構造を従来型から踏襲しているが、使用されているパーツは新規開発したそうなので、その効果が現れているのかもしれない。いずれにせよ、リアの接地感がしっかりしていると、いかなる曲面においても終始安心してステアリングが握っていられる。
1998ccの直列4気筒エンジン+7速DCTの組み合わせはすでに熟成の域に達したと言ってもいいかもしれない。204ps/300Nmの数値以上にパワフルだしレスポンスもよくなんの不満もない。xDriveの前後駆動力配分の制御も完璧に近い。
この格好が琴線に触れた方なら、乗ってもきっと満足するはずだ。
【SPECIFICATION】BMW X2 xDrive 20i
■車両本体価格(税込)=6,280,000円
■全長×全幅×全高=4555×1845×1575mm
■ホイールベース=2690mm
■トレッド=前:1580、後:1585mm
■車両重量=1670kg
■エンジン形式/種類=B48A20P/直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1998cc
■最高出力=204ps(150kW)/5000rpm
■最大トルク=300Nm(30.6kg-m)/1450-4500rpm
■燃料タンク容量=54L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=12.8km/L
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:245/45R19
問い合わせ先=BMWジャパン TEL0120-269-437