ホンダの次なるステップに期待大!
ホンダは東京オートサロン2025で、「ホンダスポーツ」を提唱した。テレビCMなどでも活用するとしている。ホンダスポーツは、ホンダのモータースポーツとスポーツ(スポーティ)量産をつなぐものだ。これはけっして、「無限」に代わる新ブランドではないし、またモータースポーツを統括するHRC(ホンダレーシング)によるF1やMotoGPを筆頭とするモータースポーツ向けのマーケティング用語でもない。
あくまでも、ホンダという企業の理念を、改めて示した形がホンダスポーツ。オートサロンの現場でホンダの展示各モデルを見て、またホンダ関係者らと意見交換しながら、そう感じた。そんなホンダスポーツを、ユーザーがダイレクトに感じ取ることができるのが、今秋発売予定の新型「プレリュード」だ。
ジャパンモビリティショー2023でコンセプトモデルとして世界初公開され、今回はプロトタイプは前・後にエアロパーツ等を組み込んだ ”ほぼ量産車”だ。筆者は昨年12月に栃木県内のホンダ関連施設で実感している。新型プレリュードプロトタイプを高速周回路と、テクニカルコースの双方で走らせている。
その際、最も強く感じたのは「(シビック)タイプRの車体を使った」という、クルマとしての素性の良さだった。そのシビックタイプRだが、22年に発売して以来、ユーザーの要望にホンダ側の供給が追いつかず受注休止が続いてきたが、「やっと供給体制が安定してきた」(ホンダ)という。そこで今回、インテリアを黒基調とした「シビック タイプR レーシング ブラックパッケージ」の発売に至った(税込599万8300円)。
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さて、ホンダスポーツの今後についてはどうなるのか。あくまでも私見だが、「タイプR」思想を軸足としたホンダスポーツの重要性が益々高まるものと考えている。
ホンダとしての達成目標として、2050年カーボンニュートラルがある。その過程で、2040年EV・FCEV新車100%を掲げており、2026年から「ゼロシリーズ」の随時導入が始まる。一方で、2020年代中盤から2030年代にかけてのEV普及移行期では、次世代「e:HEV」がホンダの屋台骨を支えることになる。
ホンダの四輪部門開発統括者は「第二の創業期」と、ホンダの現状を表現する。これから先、ホンダがホンダらしく進化するためには、その原点に立ち返ったホンダスポーツという概念が極めて重要だ。
この記事を書いた人
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。