二代目クイントにして初代インテグラ
この記事の公開日は2025年2月20日。今から40年前の今日――すなわち1985年2月20日に発売された名車をご存じであろうか? ホンダのスポーティ・ハッチバック、クイントインテグラである。
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このクイントインテグラは、登場から4年後のフルモデルチェンジでインテグラへと名称を改めたことから、初代インテグラと呼ばれる場合もある。これを含めてインテグラは四世代目まで歴史を重ねて一旦消滅したが、五世代目として近年復活、しかしこれは日本国内では発売されていない。
話をクイントインテグラに戻すと、そのルーツとして、1980年登場のクイントという車種が存在している。このクイントは当時のシビックとアコードの間を埋めるモデルで、ボディ形式は5ドア・ハッチバックのみという、地味な存在であった。これをモデルチェンジして生まれたのが1985年登場のクイントインテグラだった、というわけである。
クイントは「スポーティな5ドアハッチバック」をコンセプトとしていたが、それにしては外観があまりに地味で、セールス的には不振に終わっている。その状況を打破すべくホンダとしてもイメージの刷新を狙ったのであろう、「流麗なスタイリングと快適な居住性をもつ」というホンダの説明通り、スタイリッシュに生まれ変わったのが、このクイントインテグラであった。
二代目シビックのイメージに引きずられていた先代クイントとは打って変わって、クイントインテグラではリトラクタブルライトを採用。これは同年にデビューする三代目アコードより4ケ月先行したものであった。ボディ形式は3ドア・ハッチバックのみとされたが(のちには5ドアと4ドア・セダンも追加)、リアデッキにわずかなノッチを設け、リアウィンドウもサイドに回り込んだラップラウンド形状とし、さらに低いノーズとも相まって、全体にクーペ的なイメージでまとめられている。
1.6Lツインカム+スポルテック・サスペンション
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スタイリングだけでなく、搭載エンジンが全車DOHCとされていたことも、クイントインテグラの大きなアピールポイントだった。このエンジンは先にシビックおよびCR-XのSiで登場していたZC型で、排気量1590ccのDOHC、各気筒に4つのバルブを持つ16バルブ・ユニットである。PGM-FI(電子制御インジェクション)と、クイントインテグラのために用意されたシングルキャブの2仕様があり、前者は135ps、後者は115psを発揮した。
こうしたスポーティイメージの一方で居住性も犠牲にはされておらず、FFレイアウトとシビック/バラード譲りのサスペンションにより広い室内空間が確保されている。このサスペンションは当時のホンダが”スポルテック・サスペンション“と称したもので、フロントはトーションバーを用いたストラット、リアはトレーリングリンクによるビーム・サスペンションである。
発売当時のバリエーションは、トップグレードのGSiを筆頭に、リアスポイラーを装備してスポーティさを強調したRSi、中間グレードのZS、そしてベースモデルのLSの4種類。エンジンがシングルキャブとなるのはZSとLSである。標準現金価格はGSiから順にそれぞれ157.5万円、146.5万円、132.8万円、119.8万円であった(いずれも東京地区、MT車)。
ちなみに、車名の「インテグラ」とは「統合」「統一」といった意味を持つ単語「integrate」にちなむもので、当時のホンダが持つ技術、テクノロジーがこの1台に統合されている、といった意味でのネーミングである。