
ボルボの最新コンパクトBEVとして人気を博しているEX30。これまでオンロードやロングドライブなどで試乗してきたが、今回初めて新潟県は妙高を起点とし、雪上をドライブする機会を得た。
卓越したトラクション性能を発揮
後輪駆動のモデルは、前輪駆動に比べて雪道は苦手というイメージがあるが、BEVに関してはそれが当てはまらないケースも多々ある。今回ボルボEX30で雪上を試乗して、それを実感することができた。
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試乗のスタート地点となったのは北陸新幹線・上越妙高駅からほど近い施設で、推奨コースは近隣のスキー場までの往復だ。前日まで雪が降っていなかったせいか幹線道路は除雪が住んでおり、気温が高めなこともあって脇道に逸れてもシャーベット状の雪が積もっている状況であったが、EX30は轍を通過する際にも挙動を乱すことなく走り抜けていく。

湿雪でも安定した走行性能を披露してくれたEX30。タイヤはミシュランのX-ICE SNOWが装着されていた。
その後、上信越自動車道に入ると雪が降り始め、視界がやや悪くなるシチュエーションに遭遇したが、そこで運転に不安を感じることはなかったのは、EX30の走行安定性の高さの賜物だろう。
そしてスキー場周辺になると道路脇には2mを超えるほどの雪の壁がそりたち、今シーズンの積雪量の多さを物語るような風景が広がっていく。ここでは圧雪路でのコーナリングを試してみたが、RWDならではのハンドリング性能に加え、各輪のグリップをしっかりと感じ取ることができたことで、雪上でもEX30の素性の良さを実感することができた。
また、途中坂道で停止状態から発進を試みた際には、若干のスリップを伴いながらもいともたやすく登っていくのも驚きだった。これはBEVならではの綿密なトラクション制御が行える点が大きい。エンジン車ではタイヤがスリップを感知してから若干のタイムラグがあり制御が介入するが、EX30ではタイヤが空転しそうな状態で制御してくれるのだ。

インテリアは、スカンジナビアンデザインを取り入れつつ超シンプルな造形だ。コクピットには12.3インチのディスプレイのみがレイアウトされ、シートはウールブレンドを採用。ダッシュボード奥にはハーマン・カードンのサウンドバーが配置されている。
- リアのラゲッジスペースは標準状態で318Lの容量を確保。60:40の分割リアシートを倒せば904Lまで拡大可能だ。
こうして、RWDながらも雪道で頼もしい走りを披露してくれたEX30。自身は以前スウェーデンでスパイク(スタッド)タイヤを装着したツインモーターのAWDモデルを試乗した際に、氷上での卓越したハンドリング性能を体験することができた。EX30は、このツインモーターモデルの国内導入とともに、アウトドアイメージを前面に押し出したクロスカントリーの導入も予定しいるというから、今後のラインアップ増加も楽しみだ。
【SPECIFICATION】ボルボEX30ウルトラ・シングルモーター・エクステンデッド・レンジ
■車両本体価格(税込)=5,590,000円
■全長×全幅×全高=4235×1835×1550mm
■ホイールベース=2650mm
■トレッド=前:1590、後:1595mm
■車両重量=1790kg
■モーター形式/種類=TZ220XSA02/永久磁石同期電動機
■モーター最高出力=272ps(200kW)/6500-8000rpm
■モーター最大トルク=343Nm(35.0kg-m)/5345rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=69kWh
■一充電航続可能距離(WLTC)=560km
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:245/45R20(8.0J)、後:245/45R19(8.0J)