1958年に出たアニュアルキット初弾のエドセルにはホイールウェル(タイヤハウジング)がなかった。いわばペチコートを履き忘れて舞踏会に駆けつけてしまったようなものだ。20世紀の終わりにAMTアーテルはエドセルのドレスチェックを入念におこない、どこに出しても恥ずかしくない、すばらしいエドセルのお披露目にこぎつけた。このバージョンに施されたプリペイントはたいへん入念なもので、うるさい色の好みをいわなければ絶賛されていた仕事だろう。しかし、市場は色の好みをまずうるさく言うのである。(本連載第10回もぜひ参照してほしい)。
写真:羽田 洋、秦 正史