オールラウンドなパフォーマンスを証明
レンジローバー初の電気自動車(EV)である「RANGE ROVER ELECTRIC(レンジローバー・エレクトリック)」のプロトタイプ車両が、北欧の極寒環境での2回目のテストシーズンを完了した。

【画像16枚】見ているだけでしばれる極寒テストの様子をさらに確認!
凍結した湖や陸地のコースを走行するテストは累計45,000マイルに及ぶというが、プロトタイプ車両はオールラウンドなパフォーマンスを実証したとのこと。凍結した湖の路面によって、シングルペダルドライビング機能やスイッチャブル・ツインチャンバー・エアサスペンションなど、ダイナミクス性能に関する貴重なテストも実施できたという。
ここで検証されたのは、例えば新たなThermAssistTMテクノロジーだ。この車載熱管理システムは、暖房エネルギー消費量を最大40%削減し、マイナス10℃という低温環境においても熱を回収、推進システムや車内を暖めることを目的としたもの。このテクノロジーによって、極寒の気温下でも航続距離の最適化が実現されるという。充電性能への影響を最小限に抑え、乗員の快適性も確保できるとのことだ。

搭載されている800Vの高電圧バッテリーはジャガー・ランドローバー初の自社設計・製造によるもので、エネルギー密度、航続距離、充電時間の最適化が狙いとされている。この電動ラグジュアリーSUVはCell-to-Pack(セルトゥパック)方式を採用しており、最高のパフォーマンスを提供するとのこと。
あらゆる地形に対応する走破能力と洗練性は、シングルペダルドライビングやスイッチャブル・ツインチャンバー・エアサスペンションなどの採用によって、このEVでも受け継がれるとされている。車両の減速と回生ブレーキによるバッテリーへの充電に加え、テレインレスポンスとも連動、シングルペダルドライビングでは車両を完全に停止させてヒルホールドを起動するため、ブレーキを踏まずに再発進できるという。
またレンジローバー・エレクトリックの特長は、過酷な地形でもシングルペダルドライビングができることだとされており、エンジニアは北極圏のテスト施設において、28℃と17℃のスプリットμ路でパフォーマンスを検証した。
北極圏の氷上コースを走破したことで、このEVのAWD(全輪駆動)テクノロジーがあらゆる路面に対応できることが実証されたとされる。トルク伝達は内燃機関(ICE)よりも精密であり、インテリジェントドライブラインダイナミクス(IDD)テクノロジーが後輪のトルクを100%から0%まで調整し、トラクションロスを防止するという。
また、インテグレイテッド・トラクション・マネージメントと連動することでトラクションの安定性を維持し、モーターの回転速度を50ミリ秒以内にコントロールして、ICE車両の同等モデルに比べて最大100倍速くスリップが制御できるとのことだ。

レンジローバー・エレクトリックのプロトタイプ車両は、予約開始に向けて、厳格なテストと開発プログラムがさらに継続されていくという。