2002年、実質的に骨抜きとなったRCアーテルAMTが、一見いつもと変わらない様子でリリースした’58プリマス・ベルヴェディア(品番31156)に対して浴びせられた非難から、感情的なトーンを差し引いて見えてくるのは、表面はそれらしく整ってはいるものの、随所に配された要素のすべてが「わかっていない」者のしわざであるという「感触」であり、それこそがファンの期待を大きく裏切ったことを物語っている。V8エンジンは「ただのV8」であり、廉価版ヘミというべきポリスフェリカルV8でもなければ、1958年に登場したBウェッジヘッドV8でもなかった。
写真:羽田 洋、秦 正史