SVや直8がまだ一般的だったこの時代にあって、OHVを採用したオールズV8は“ロケット”の呼称を与えられ、その高性能ぶりをアピールした。1949-1950年型オールズモビル88が「マッスルカーの元祖」といった言い方をされるのは、まさにこのエンジンに由来する。大柄な98(Cボディー)用の強力なエンジンを、小柄な88(Aボディー)に搭載する――これはそのまま、フルサイズ用の強力なエンジンをインターミディエイトに搭載するという、のちのマッスルカーの図式とほぼ同じだからである。
写真:羽田 洋、秦 正史