484ヘミ・エンジンは分割が細かいが、パーツのモールドはよく言えば大らかなもので、そこもまたなつかしい感じがある。プレイング・マンティス/ポーラーライツはこの頃、まだ若い会社だった。激動の1960年代を模型メーカーとして戦ったこともなく、リーダーのトム・ロウもまたホビー・キッズのひとりに過ぎなかった。そんな会社/人物が、老舗AMTの看板よりもはるかにアメリカンカープラモのあるべき姿に忠実であったことは特筆に値する。ドイツ統一後に生まれながらトラバントを「なつかしい」と素直に表明できる感性にも似たこの姿勢が、21世紀のアメリカンカープラモを力強く盛り上げていくことになる。
写真:羽田 洋、秦 正史