しかしその口の多くは、古いキット群に対し「ここがなってない」「いただけない」と吐き捨てていた口である。まるでメビウスのあり方だけが評価に値すると言っているようなもので、それは確実に世界の居心地を悪くするものだ。メビウスは世界の諸相のひとつに過ぎない。ハドソン・ホーネットに強烈なインパクトがあったのは、そこに「みんなもあとに続け!」という野心的なメッセージがあったからではないだろうか。1958年以前のテーマを扱うキットの少なさ、その魅力と可能性を市場に知らせる先ぶれだったからではないだろうか(作例制作:畔蒜幸雄)。
写真:羽田 洋、秦 正史