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【エンジン徹底解説】新型フェラーリ「アマルフィ」、640馬力V8の“進化”を読み解く。「ローマ」から何が変わったのか?

エレガンスとパフォーマンスの融合

フェラーリは2025年7月1日、V8エンジンをフロントミッドに搭載するFRの2+クーペ、「Amalfi(アマルフィ)」を発表した。これは従来の「Roma(ローマ)」に代わるモデルであり、フェラーリでは、「現代的なスポーティさの概念を書き換える、ハイパフォーマンスと汎用性、洗練された美しさを兼ね備えた」車種であるとしている。

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アマルフィは、流麗でミニマルなイメージを柱にしたデザインのボディ――彫り込まれたフォルムとクリーンな面によって、現代性とダイナミズムを表現したという――に最高出力640psのV8ターボエンジンを搭載、後輪を駆動する。

このエンジンは、数々の受賞歴を誇る「F154」ファミリーから派生した進化型で、8速デュアルクラッチ・トランスミッションとの組み合わせにより、高速でスムーズな変速を実現したとのこと。0-100km/h加速は3.3秒、0-200km/h加速は9.0秒、パワーウェイトレシオは同クラス最高の2.29kg/ps。ここでは以下、このパワートレインについて詳しくご紹介しよう。

ローマから20psアップしたパワートレイン

エンジンは排気量3855ccのツインターボV8であり、国際的な賞を多く獲得しているF154ファミリーの最新進化型とされる。このモデルでは、パワーユニットの最適化によって、最高出力が7500rpmで640ps、リッターあたり出力が166ps。最高回転数は7600rpmに引き上げられており、途切れることなく高まるパワーカーブを存分に活用できるという。

こうしたパフォーマンスの向上は、先進的なターボチャージャー制御システムによって支えられている。専用キャリブレーションによって2基のターボチャージャーの回転速度を個別に制御できるようになり、ターボの最高回転数が171,000rpmにまで高まった。これによりスロットル・レスポンスが向上し、過給圧制御の正確性も高まったとしている。これには、各シリンダーバンクに専用の圧力センサーを導入したことも貢献しているそうだ。

重量削減にも努めており、新たなカムシャフト(-1.3kg)を導入したほか、再設計のエンジンブロックには非構造素材を切削する精密機械加工を施して、約1kgを削減。フェラーリエンジンとしては初めて低粘度オイルが採用され、低温時の抵抗を従来より30%低減、ウォームアップの効率性を高めたとのこと。

さらに素早くなったスロットル・レスポンスは、フラットプレーン式クランクシャフト、小型で低慣性のタービン、排気を個別に制御するツインスクロール技術、等長のシングルスクロール・マニホールドなどによって実現したという。途切れることのないリニアな高まりを感じさせるパワーデリバリーと、すべてのギアの中・高回転域で強力な加速を可能とするトルクカーブが実現したとしている。

オイルバス式8速デュアルクラッチ・トランスミッションは、「SF90ストラダーレ」以来のものだが、アマルフィでは制御ユニットのパワーアップと、エンジン・ソフトウェアとの統合の深化によってさらに最適化。変速の滑らかさと速度を高めたという。またパワートレイン全体の効率性を高めるソリューションとしては、ドライサンプ式のギアボックスや、低摩擦のベベルギアが挙げられる。

サウンドデザインにも注意が払われており、新たなサイレンサー・レイアウトは、フェラーリならではの音質を損ねることなく、最も厳しい騒音規制にも準拠することを主眼に開発された。フラットプレーン式クランクシャフトと等長エグゾーストヘッダーによって、特徴的な点火順序を確保。

排気システムには、3種類の金属コーティング(ロジウム、プラチナ、パラジウム)を施した、セラミック母材の触媒コンバーターを装備し、熱慣性の低減によって始動時間を短縮したとのこと。サウンドを制御するのは新しい比例制御式バイパスバルブで、専用のマップによって、走行条件に応じエグゾーストノートを管理するという。

スタイリングやインテリアなどについては、また別の記事にてお伝えしたい。

【エンジンスペック】
タイプ……ツインターボV8、ウェットサンプ
総排気量……3855cc
ボア・ストローク……86.5×82mm
最高出力……640ps/7500rpm
最大トルク……760Nm/3000~5750rpm
最高回転数……7600rpm
圧縮比……9.4:1
比出力……166ps/L

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LE VOLANT web編集部

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