先ごろ開催されたピッティ・ウォモにおいて世界中から訪れたファッショニスタを魅了したカルティエの新作メンズウォッチのイベントが開催された。
※この記事はル・ボラン2016年9月号からの転載です。掲載商品は現在販売していないものもあります。
ドライブ ドゥ カルティエ
夏の初め、イタリア・フィレンツェで開催された世界最大級のメンズファッションの展示会、ピッティ・ウォモに行った。
会場の賑わいは例年通りだが、ピーコックと揶揄された、中庭でド派手な着こなしをアピールするファッショニスタは減ったようだ。そこには時代の空気もあるのだろう。とくにハイブランドは目を引くようなスタイルよりも、上質な素材や機能性を追求し、快適な着心地やシーンを問わずに使える実用性を備える。いかなる時でもストレスを感じることなく、自分らしくあるか。これがラグジュアリーファッションのトレンドのようだ。時計でもそうした時代の感性をいち早く取り入れた新作が登場した。カルティエの「ドライブ ドゥ カルティエ」である。
強い自立心とともに本能と意思を貫き、自然体でありながらもエレガントを感じさせる。そんな男のスタイルをシンプルながら個性漂うクッションケースと伝統的なブランドのデザインに投影する。
この特別展示がピッティ・ウォモ開催に合わせて行なわれ、ドライブ ドゥ カルティエの似合う“ドライブマン”の世界が登場した。いわばファッションの聖地への時計の進出であり、本格的な時計の展示会としては初の試み。これも今後さらに深まるだろう両者の親和性を予感させるのだ。
会場には15世紀に建てられた由緒あるゴンディ宮が選ばれた。このペントハウスとルーフトップに、ドライブマンの書斎、客間、支度室の設定で、建築家、スタイリスト、画家という3人のアーティストがそれぞれの創作を注いだ。展示もドライブ ドゥ カルティエだけでなく、煙草入れやクロック、タンブラー、ステーショナリーなどテーマに沿ったカルティエの歴代アーカイブが並び、タイムレスな価値を演出した。
考えてみればカルティエが1904年に発表した世界初の腕時計とされる「サントス」もメンズウォッチとして製作されたものであり、いつの時代もカルティエが男のダンディズムと向き合っていたことが伝わってくる。
この世界観をさらに進化させたイベントが東京でも開催される。そのスタイリングをキュレーションするのは、ビームス。今年創業40周年を迎え、日本の男たちのファッションカルチャーを育んできたセレクトショップとの協業はなんとも刺激的だ。パリ、フィレンツェ、東京それぞれの三都物語が楽しみだ。
CARTIER DRIVE DE CARTIER
メゾン カルティエは1847年、パリにてジュエリー職人のルイ=フランソワ・カルティエが 創業。以来、流行や時代を超越し、比類ない歴史を紡いできたことはいうまでもない。 時計製造においても、初めて腕時計を生み出したカルティエは、20世紀初頭には角型の ダイアルを考案し、時計のデザインをも大きく変えたパイオニアともいえる存在。今回の「ド ライブ ドゥ カルティエ」は、カルティエの由緒ある伝統に名を連ねる、情熱あふれる男性のための時計。いずれもクッションシェイプの美しいケースが特徴的で、ピンクゴール ドまたはスティールのケースに、ローマ数字と剣型針をしたブラックやグレー、またはホワイトのギヨシェ彫りダイアルを備える。メインカットの自動巻きモデルはシースルーケースバック越しには自社製ムーブメント1904-PS MCの姿を見ることができる。
●問い合わせ先:カルティ エ カルティエ サービスセンター https://www.cartier.jp/