モデルカーズ

地味アメリカンだけどスーパースポーツ!レベル製プラモで「1962年型インパラSS」を味わう【モデルカーズ】

歌にもなった名機409を搭載!

シボレー・インパラの初期モデル(1958-1964年型)は、ローライダーのベースなどとして日本でもお馴染みの存在だが、1962年型は、その中で第三世代(1961-1964年型)にあたるものである。

【画像20枚】文句なしにカッコイイ1962年型インパラと、そのディテールを見る!

インパラの登場は1958年型でのこと。同年はGM創立50周年にあたっており、それを盛り上げる意味もあったようだ。この最初のインパラは、最上級モデルであるベルエアのさらに上位に位置するモデルとして、2ドア・モデルのスポーツクーペ(ハードトップ)とコンバーチブルにのみ設定、豪華な内外装を与えられていた。スポーツクーペのルーフラインはベルエアのそれよりも低く短く、そのためリアデッキが長く見える優雅なスタイリングとなっている。

翌1959年型ではインパラにも4ドアが加わったが、前年までシボレーのシリーズ最下層に位置していたデルレイがこの年からは消滅したので、それまでのベルエアがインパラに名を変えたとも捉えることができる。1959年型は鳥の翼のように横に広がったテールフィンであまりにも有名だが、マイチェン版である1960年型では、その形状は若干トーンダウンしている。インパラのみは丸3連テール、他は2連テールとなるのが特徴で、1958年型のスタイルに戻った形だが、1960年代を通してこれがシボレーのアイデンティティともなった。

フルサイズのシボレーは1961年型で次の世代に移行したと捉えられているが、ホイールベース(119インチ)や、X型のフレーム構造などは前年型と同様である。ボディからはテールフィンがそぎ落とされ、よりスクエアなイメージへと進化。この年のみ2ドア・セダンがラインナップされていたのも特筆すべきポイントだ。

本題の1962年型のボディスタイルは、1950年代からの流れを残した最後のものと言え、下降線を描く側面のプレスラインや丸みのあるAピラー、上のラインがV字型となるリアガーニッシュなどに1959年型からの面影が嗅ぎ取れるが、こうした要素は、完全にスクエアなボディとなる翌年型で消え去ってしまう。

前年型のマイチェン版である1962年型だが、インパラ・スポーツクーペのグリーンハウス形状は、前年型の丸みを帯びたものから四角張った形のものに変更されている。ベルエアのスポーツクーペでは前年型の形状を引き継いでおり、その対照性が興味深い。この年のインパラに用意されたボディは、ほかにコンバーチブルと、4ドアのセダンにハードトップ(スポーツセダン)、そしてワゴンがあり、これは翌年以降も同様となる。

そして、スポーツクーペとコンバーチブルにオプションとして設定されたのがSSパッケージである。前年に登場したSS(スーパースポーツの頭文字を取ったもの)は、ワゴンを含むすべてのボディでチョイス可能なオプションであったが、エンジンは強力版V8の348-cid(5.7L、305hp/340hp/350hpの3種)にのみ限定されており、シーズン途中でさらに強力な409-cid(6.7L、360hp)も追加された。1962年型では2ドアに限定された代わりにトリムパッケージへとその方向性は変わり、直6まで含めた全エンジンに組み合わせが可能となったのである。

その全エンジンについて細かく述べると、標準で用意されていたのは、前述の直6 235.5-cid(3.9L、135hp)とV8 283-cid(4.6L、170hp)の2種類。オプションのV8は348に代わって327-cid(5.4L)が250hpと300hpの2種類で、そして409が380hpと409hpの2種類で、それぞれ設定されていた。

前年型ではサスペンションやブレーキもSS専用に強化されたものが用意されていたが、1962年型のインパラSSはあくまでトリムパッケージなので、それらを装着しない状態でも注文することが可能だった。その反面、フロントシートはバケット・タイプのみに限定。外装では、通常のインパラではメッキモールの内側がペイント仕上げとなるのに対し、SSではアノダイズ処理されたアルミとなるのが特徴だ。

なぜかAMTが出さなかったスポーツクーペをレベルがキット化
1962年型インパラの1/25スケール・プラモデルは、1997年にAMTからコンバーチブルのインパラSSが発売されていた。これはアニュアルキットとは異なる現代的なフルディテールモデルで、先にリリースされていたベルエア409のシャシーやエンジンのパーツを利用したものだが、スポーツクーペはキット化されなかった。そこにレベルから2010年、新金型でスポーツクーペのインパラSSが登場したのである。

ここでお見せしているのは、発売間もないそのキットを制作した作例で、自動車模型専門誌「モデルカーズ」176号(2011年)に掲載されたものだ。以下、そのとき一緒に掲載された、作者・周東氏の解説をお読みいただこう。

「インパラの1962年型がレベルから発売された。これで同社からは1958年型から1966年型まで、1961年型を除く各年のインパラが揃ったことになる。しかも全て2ドア・ハードトップだ。ひとつのメーカーでこれだけ揃うのも、近年では珍しい。

キットの全体的な印象は近年のレベル製品の平均的な出来。小さなバリやパーティングラインが目立つところもあるので、これらを丁寧に処理することは必須だ。破損しやすいパーツや、ゲート処理が厄介な部品もあるので注意が必要。ボディはAピラーの根元のウィンドウモール部分に曖昧なところがあるが、ここは紙ヤスリで整える程度にしておいた方がよいだろう。

エンブレム類は今回もデカール表現となっており、個人的には不満に思うところだ。リアガーニッシュのメッキバー部分には「CHEVROET」のロゴが入るのだが、このキットはデカールもモールドもなく、全く無視されている。フードエッジモールには同じ文字のモールドがしっかり入っているのに、どうしたことであろう。

インテリアは、ディテールの表現はメリハリが利いていてよいのだが、全体の感じが妙だ。これは、ドア内張りが内側に傾斜していて、断面で見るとハの字状になっていることが原因だろう。もちろん、組み立ててしまえば隠れて目立たなくなる。ダッシュボードのグローブボックスはメッキパーツを付けるようになっているが、このパーツのパターンは、手持ちの資料に限って言えば該当するものがなかった。この辺はAMTの方が正確に再現されているようだ。

フロントシートは合いが悪いので、段差を削りフラットになるように修正する。エンジン、シャシー、足周り関係は特に問題となるところはないが、仮組み調整を充分に行う必要がある。なお、リアサスの前方に付くブロックは、ストックの場合は不要だ。

ボディカラーはコード917「TWILIGHT TURQUOISE」とした。1962年型シボレーの、フルライン・カタログの表紙を飾っているクルマを再現したものだ。この色は、Mr.カラーのGX1クールホワイトにC65インディブルー、CR3色ノ源イエロー、C2ブラックを混ぜている」

作例制作=周東光広/フォト=羽田 洋 modelcars vol.176より再構成のうえ転載

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