オフロードでも乗り心地は秀逸!
ジャガー・ランドローバー(以下JLR)の雪上試乗会に参加してきた。会場は豪雪地域として知られる長野県の斑尾高原。これまでJLRの雪上試乗といえばSUVのランドローバー車が対象だったが、今年は昨年発売されたジャガー初のSUV、「Fペース」も試乗車として用意されているという。同じメーカーが作る別ブランドのSUVは、果たしてちゃんと差別化が図られているのか。このあたりが注目点だろう。
まず最初に試乗したのは、“オフロードのロールス・ロイス”の異名を持つ「レンジローバー」だった。グレードは上級の「オートバイオグラフィ」で、エンジンは510psの5.0リッターV8スーパーチャージャー。税込希望小売価格は1866万円である。
用意されていたステージはヒルクライムやモーグル走行が可能なオフロードコース。シリーズ最強の4WDシステムを持つだけに、悪路走破性に関してはJLRも自信満々なのだろう。そのメカニズムは後輪駆動(FR)ベースのセンターデフ付きフルタイム4WDで、基本前後トルク配分は50:50。センターデフには電子制御のマルチプレートクラッチが搭載されており、こちらで適宜ロック率を変化させることも可能だ。通常のハイレンジギアに加えて極限のオフロード走行で有利なローレンジギアも備えている。
いよいよコースイン。とりあえずはローレンジで走り出すが、人間が歩くのも苦労しそうなヒルクライムやモーグル(コブだらけの凸凹道)でも、レンジローバーは涼しい顔して走破してしまう。ここで特筆すべきはモーグルでの乗り心地のよさ。ストロークをたっぷりとったエアサスペンションがあきれるほどスムーズに伸縮、フロアをフラットに保つから乗員の頭が左右に揺さぶられることがないのだ。走破性だけでいえばメルセデス・ベンツGクラスやジープ・ラングラーも侮れないが、オフロードでの振る舞いがここまで上品なのはレンジローバーを置いてほかにない。無邪気に雪遊びをしても、出自は決して隠せないのだ。
またレンジローバーには「テレインレスポンス2オート」なる機能が付いており、これはエンジン、トランスミッション、デファレンシャル、エアサスなどを路面状況に応じて適宜最適化してくれる走行モード調整システム。「オンロード」「草地/砂利/雪」「泥/轍」「砂地」「岩場」という5つの基本モードに加え、これらの切り替えを自動的にやってくれる「オート」モードが用意される。
今回はオフロードで各モードをあれこれ切り替えて試してみたのだが、いやー、その制御の緻密なこと。モードによってエンジンの吹け方もシフトアップのタイミングも、デフのロック率もエアサスの固さも制御が全然異なり、確かに雪道では「草地/砂利/雪」にセットしておくのが最も走りやすいという結論に到達。いままでは「『オンロード』と『オフロード』の2つくらいで十分じゃないの?」 と思っていたのだが、テレインレスポンスの有効性は想像以上だった。